【ワシントン=貞広貴志】ネグロポンテ米国家情報長官は11日、世界のテロ組織や国家による脅威の現状をまとめた「年次脅威調査報告書」を上院情報特別委員会に提出した。
北朝鮮とイランを「国際非難を無視した最も懸念すべき国家」と位置づけたうえで、北朝鮮が核実験やミサイル発射によって「地域を不安定化させようとしている」と深刻な認識を示した。
さらに、「北朝鮮の核計画が進み地域の脅威とみなされるようになれば、他の北東アジア国家も核武装に踏み切るかもしれない」とし、国名の特定は避けつつ、事実上、日本の核武装への波及に懸念を表明した。
ネグロポンテ長官とともに委員会で証言した国防情報局(DIA)のマイケル・メープルス長官は、「金正日政権が近いうちに崩壊する可能性はない」との情勢判断を示した。
また、中国の軍拡路線についても懸念が示され、メープルス長官は「今後10年で核兵器の蓄積が進み、新型の弾道ミサイルも運用可能になる」と分析した。
報告書は国際テロ組織アル・カーイダを「国内外の米国の利害に対する最大の脅威」と定義、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの脅威も増大していると指摘した。(2007年1月12日読売新聞)