かいふう

近未来への展望や、如何に。

ストーカー事件、確定。

kaihuuinternet2006-08-30

埼玉県桶川市兵庫県太子町で1999年、ストーカー行為を受けていた女性が殺害された2つの事件を巡り、遺族が「県警が適切な捜査を怠ったために殺された」として、各県に賠償を求めた2件の訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(今井功裁判長)は30日、いずれも遺族と県の双方の上告を棄却する決定をした。

捜査に怠慢があったとしながら、殺害については警察の責任を認めなかった1、2審判決が確定した。

桶川事件では、女子大生の猪野詩織さん(当時21歳)が、元交際相手の兄の小松武史被告(40)(1、2審で無期懲役、上告中)らから、中傷ビラをばらまかれるなどのストーカー行為を受けた末、99年10月、JR桶川駅前で刺殺された。

埼玉県警上尾署は、名誉棄損容疑での告訴を受けながら、署員3人(懲戒免職)が調書を改ざんするなど、適切な捜査をしなかった。

2審・東京高裁は「殺害の危険が切迫していたことを知るのは困難だったが、名誉棄損について適切な捜査を怠った責任がある」として、計550万円の賠償を命じた1審・さいたま地裁判決を支持した。

一方、兵庫の事件では、会社員の尾ノ井由加子さん(当時20歳)が会社員(同27歳)につきまといや暴行を受け、兵庫県警龍野署に相談したが、同署は会社員に誓約書を書かせただけで捜査しなかった。会社員は99年2月、尾ノ井さんの軽乗用車に乗用車をぶつけて死亡させた後、自殺した。

2審・大阪高裁は、「警察が適切な対応を取らなかったのは違法」とする一方で、捜査の怠慢と殺害との因果関係については認めず、計660万円の賠償を命じた1審・神戸地裁判決を支持した。

 ◆「とても娘には報告できない」◆

上告棄却決定を受け、猪野詩織さんの母、京子さん(56)は、「真実よりも組織を守ることを優先した判断で、とても娘には報告できない」と、やりきれない表情を浮かべた。父、憲一さん(56)は文書で、「最悪の結果となってしまった。公平、公正に事実を見つめ判断を出してくれることを期待していたのだが」とのコメントを出した。

一方、尾ノ井由加子さんの兄の広行さん(50)は、代理人を通じ、「この裁判が、交際している男女間の暴力を軽視する警察の対応を変えるきっかけにならず残念。同様の被害者が後を絶たない現実に早く社会が気づき、警察の対応や司法判断を変える日が来ることを強く望みます」とコメントした。

鈴木三男・埼玉県警警務部長の話「決定を厳粛に受け止め、今後とも国民の立場に立った適正な捜査活動に務めていきたい」

今西義高・兵庫県警監察官室長の話「決定を厳粛に受け止め、今後とも責務を果たすべく警察活動を積極的に推進していきたい。
(2006年8月30日読売新聞)
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納税の義務を履行している側、国民からすれば、我われの生命と安全をまかせられる公的機関の対応が、こんな結末しか保証し得ないのであれば、不安は遺族でなくてもとても拭い切れない、残る。
若い女性会社員が、私立探偵雇えるゆとりがあるとはおもえない。
それがそうだとしたら、無理心中させられる側は堪ったもんじゃない。

「うつ」での労災、認定される。

不本意な転勤後にうつ病になったとして、労災申請していた東京都内の化粧品製造会社の元社員の男性(38)について、太田労基署(群馬県太田市)が労災を認定していたことが30日わかった。

男性の代理人の弁護士は、「過労ではなく、不当な処遇によって発症したうつ病で、労災が認定される事例は珍しい」と話している。

代理人の説明によると、男性は2001年、東京にある本社の経理係長となったが、04年7月、約1週間後に群馬県内の工場に赴任するよう会社側から命じられた。

配属先では、部下から離れた出入り口近くの席に、窓に顔を向ける形で座らされ、座席の移動を要望しても受け入れられなかったという。毎月の賃金も11万円減額された。

男性はその後、激しい頭痛や腹痛、脱力感を覚え、うつ病と診断されて約1か月間入院。退院後に本社勤務を要望したが、「上司の許可なく一方的に休み、職場放棄した」として、解雇されたという。

男性は昨年4月に太田労基署に労災申請し、5月には解雇無効と損害賠償を求めて東京地裁に提訴。今月15日に、同労基署から労災認定された。

男性は「自分と同じような状況に追い込まれている人もいるはず。今回の認定が、苦しんでいる人たちの支えになればと思う」と話している。一方、会社側は「必要性のある転勤だった」としている。(2006年8月30日読売新聞)
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この窓は廊下に向いていて、決して木々や緑が見える開放感を与える配置ではなかった、そうだ。
会社都合でなく、あくまで本人からの退職を無言圧力掛けているようで、陰険だな。
職場というのは、大都会のコンクリート・ジャングルにしろ、地方の工場にしろ、各社員の意欲と併せて同僚との仲間意識がなければ、無味乾燥に陥る。それを経営者側が意識して隔離すれば、「うつ」病に移行しても、責任の所在はどちらか、判断は着く。
元社員の言にあるように、また彼の弁護士の言にもあるように、この地裁提訴からの労災認定は、その希少価値から、今後の基準見直しも含めて、日夜高層および大小ビルからはき出される、あるいは過疎の工場での孤独感に巻かれる、労働する会社員諸氏に、安堵感ある一陣の涼風を送った、とおもう。