かいふう

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一酸化炭素(CO)中毒事故、組織的な不作為が事故要因との疑い。

パロマ工業名古屋市)製ガス湯沸かし器による一酸化炭素(CO)中毒事故で、同社や親会社のパロマ(同市)が警視庁に任意提出した資料に、両社経営陣らがCO中毒事故の防止策を検討したことを裏付ける会議録などの社内文書が含まれていなかったことが分かった。

同庁捜査1課では、両社経営陣らが一連の28件の事故の半数以上について直後に報告を受けながら、長期間にわたり抜本的な対策を講じていなかったことを示す重要な事実として注目。こうした組織的な不作為が事故の要因になったとの疑いを強め、業務上過失致死傷容疑での立件を視野に調べを進めている。

1985年1月以降、死者21人、重軽症者約40人を出した計28件のパロマ工業製湯沸かし器による中毒事故について、捜査1課は昨年7月の問題発覚後、パロマ本社の幹部やパロマ工業の品質管理部門の担当者らから、関連する社内文書の任意提出を求め、どのような対応を講じたか事情を聞いてきた。

これまでに両社から提出を受けた資料には、事故発生時の状況を記した書類や、パロマ工業の小林敏宏社長(69)ら経営陣にあてた事故報告書、各地の修理業者に不正な改造の禁止を求めた通知書などは含まれていたものの、抜本的な事故の再発防止策を検討した担当部署の会議録や、経営陣へのりん議書などはなかった。

また同課が、複数の両社幹部らを聴取した結果、両社では長年、会社法で3か月に1回以上の開催を義務付けている取締役会をほとんど開いていなかったことも判明した。

最初の事故後、特に90年代に入ってからは98年を除き、CO中毒事故が毎年発生していたが、両社の経営陣らは取締役会などで、多発する事故の問題意識を共有しなかったため、事故が起きることが予想できたにもかかわらず、機種の回収や利用者への危険性の周知などが講じられなかった疑いが強まっている。

このため同課は、27日の捜索容疑となった2005年11月の東京都港区の大学生上嶋浩幸さん(当時18歳)が死亡した事故について、遅くとも90年代のいずれかの時点で、湯沸かし器の回収などに乗り出せば防止できたとみている。約11時間に及んだ捜索で押収したトラック2台分の資料を分析し、経営陣が当時、どのような対応を取ったかなどを調べる。

パロマ工業は昨年12月、一連の事故のうち16件の報告を事故直後、小林社長か副社長が受けていた事実を明らかにし、同社の第三者委員会も「事故情報を蓄積し、体系的に分析する体制は何ら構築されていなかった」と指摘していた。(2007年1月28日読売新聞)