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「退職手当」、官民格差の是正検討。

政府・与党は29日、国家公務員の退職金である「退職手当」を引き下げる方向で検討に入った。

人事院の調査では、退職金と「上乗せ年金」の合計額は公務員が民間サラリーマンより約142万6000円多いとされるが、与党内では「小規模企業も含めた調査ならば、官民格差はもっと大きい」として公務員の退職金引き下げを求める声が強まった。

政府は当初、上乗せ年金のみを見直す予定だったが、退職金も含めて見直す方向に方針転換した。

政府・与党は年内にも退職金引き下げなどの結論をまとめ、来年の通常国会に関連法案を提出する。

人事院が昨年11月に公表した退職金と上乗せ年金の官民比較調査では、公務員は平均で総額約3181万円、サラリーマンは約3039万円を退職後に受け取るとされた。

今国会に提出予定の被用者年金一元化法案は、「官優遇の象徴」と批判されてきた公務員の上乗せ年金「職域加算」の2010年度の廃止を盛り込んでいる。政府は当初、民間を上回る分を考慮して160万円程度を削減した新しい上乗せ年金制度を創設する考えだった。

だが、従業員50人以上の企業を対象とする人事院調査に対し、与党から、企業年金を持たないケースが多い小規模企業も調査対象に加えるべきだとの意見が出された。厚生労働省によると、従業員50人以上の企業に勤めるサラリーマンは全体の65%にとどまるという。

小規模企業を加えると、官民格差はさらに拡大するため、民間の約2倍の水準である公務員の退職金を引き下げることで、官民格差を解消する方向で検討することになった。政府・与党は今秋以降、消費税を含めた税制の抜本改革を議論する予定で、「国民に負担増を求める以上、公務員にも痛みを求めざるを得ない」という事情もある。

国家公務員の退職金が引き下げられれば、地方公務員も同様の措置が取られる見通しだ。(読売)