新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原子力発電所の運転が停止した東京電力は、電力不足を補うため、火力発電所の出力を増やすのに必要な重油や原油の供給増を石油元売り各社に要請し、協力を得ることになった。
電力需要が急増する夏場への備えに一定のメドを付けた形だが、原発を石油火力に切り替えると日本全体の二酸化炭素(CO2)排出量が2%程度増えると見込まれ、東電は新たな対策が課題になる。
東電の今年度の重油や原油の使用量は、当初予定の540万キロ・リットルから1050万キロ・リットルにほぼ2倍に増える見通しだ。
石油元売り各社は、東電の要請を受け、石油供給を増やす体制をとった。ジャパンエナジーは8〜9月、東電への重油の供給量を12万キロ・リットル増やす。このうち4万キロ・リットルはタイや韓国から輸入し、残り8万キロ・リットルは在庫で対応する。昭和シェル石油も、インドネシアやタイからの輸入などで、8月の重油供給量を4万キロ・リットル増やす。
コスモ石油も8月に予定していた東電への重油供給量を1・8倍に増やし、出光興産も1・6倍に増やす方針だ。東電との取引量が最も多い新日本石油も子会社の製油所の稼働率を引き上げるなどの対応を進める。
東電は、火力発電所の出力増や、電力6社からの電力融通などの緊急対策で、停止した柏崎刈羽原発で見込んでいた電力711万キロ・ワットの62%分を補える。
ただ、燃料費などが増加するため、業績が悪化するだけでなく、CO2排出量が当初予想より28%(2800万トン)も増える計算だ。これは、05年度の日本全体の排出量12億9300万トンの約2%に相当する。(豊田千秋)(読売)