65歳以上の高齢者が半数を超え、社会的な共同生活が困難な「限界集落」が増えている。
国土利用のあり方も踏まえ、各地域の実情に即したキメ細かな対策が急務だ。
京都府綾部市は、山間部に抱える限界集落を「水源の里」と名づけ、先に「全国水源の里シンポジウム」を開いた。参加した全国51市町村は、年内に全国組織をつくり、集落の活性化に向けて連携を強める。国土交通省も、集落の維持策を検討する委員会を発足させるなど、政府としても対策に乗り出した。
「限界集落」と言われる地域では、バス路線の廃止によって、買い物も通院もままならない。携帯電話もなかなか通じない。冬は雪に閉ざされる地区も多い。草刈りや冠婚葬祭など、集落としての共同作業や助け合いもできない。祭りなど地域文化も廃れてしまう。
耕作や山林管理も放棄される結果、洪水や土砂災害の危険性が高まる。サルやシカなどの獣害も増える。棚田などの伝統的景観も損なわれる。
農山村地域が持つ多面的な価値が消えていってしまうことになる。
国交省と総務省が実施した2006年の調査では、過疎地域の市町村にある6万2273集落のうち、高齢者が半数を超す集落が1割を超えた。
前回の1999年調査から7年間で191の集落がなくなり、今後消滅する可能性がある集落が全体の4%、2643に上っている。
地域社会の機能を支える取り組みは、これまでもなされてきた。
例えば、広島県三次市の旧作木村では、84の集落を12の行政区にまとめ、葬儀などで協力し合っている。岡山県高梁市の旧備中町では、お年寄りの診療所への送迎事業を行っている。
山形県最上地方の市町村では、独り暮らしの高齢者を対象に食料品などの宅配や雪おろしのサービスをしている。
綾部市は、限界集落の振興を目的として「水源の里条例」を昨年制定した。
空き家を使った定住策や都市との交流、特産品の開発を進める計画だ。特産物を生かして仕事を作り、新住民を呼び込むことが大切ということだろう。
そのためには、若者や団塊の世代、都市住民らにこの問題への関心を高めてもらうことが必要だ。農林業体験を取り入れた余暇活動「グリーン・ツーリズム」や、都市に住みながら農山村にも生活の拠点を持つ「二地域居住」といった取り組みも増やしてはどうか。
地道な努力を積み重ねて、「限界」の二文字を消していくことが大事だ。(読売・社説)
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『悠々自適』とか『晴耕雨読』とかは、それが脳裡をかすめたら、もう老人と諦め、引退宣言で、農村の美味しい空気を吸いに、などと話が加速するままにまかせるのだが。
空き家のリホームだって、昔なつかしの風景ならば、ともおもうが。