岩手・宮城内陸地震で、防災科学技術研究所の強震計観測網によって、揺れの強さを示す加速度の最大値は、宮城県栗原市で812ガルが観測された。
阪神大震災の最大加速度818ガル(神戸市中央区)にほぼ等しい揺れだった。
最近は地震計が全国各地に多数設置されるようになったこともあり、大きな加速度が観測されている。新潟県中越地震(2004年)では約2500ガル、昨年の新潟県中越沖地震や石川県能登半島地震では約1000ガルが観測された。
◆逆断層型と分析
気象庁の分析によると、今回の地震は、日本列島を乗せているプレート(板状の岩盤)のごく浅いところで断層がずれて発生した。
今回のように地下の浅いところで起きる地震は「直下型地震」「内陸型地震」などと呼ばれ、1995年1月に阪神大震災を引き起こした「兵庫県南部地震」や、昨年7月の「新潟県中越沖地震」も同じタイプ。日本全国、いつどこで起きてもおかしくないタイプだ。
横田崇・地震津波監視課長によると、断層の両側から力がかかって大きくずれて、片方の地盤がもう片方に乗り上がる「逆断層型」というタイプの地震だという。西北西と東南東から押し合う力が働き、断層がずれたと考えられるという。
東北地方は、日本列島が乗っている「北米プレート」の下に、太平洋側から「太平洋プレート」が少しずつ沈み込んでおり、絶えず西側から押される力がかかっている。このため、地下の断層がずれてその力を解放するが、その際に地震が発生する。(読売)
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防災科学技術研究所は15日、岩手・宮城内陸地震が起きた時、震源から最も近い岩手県一関市内の観測地点で、揺れの瞬間的な強さの指標である最大加速度が4022ガル(ガルは加速度の単位)を記録していたことを明らかにした。
国内の地震で、4000ガルを超える加速度が記録されたのは初めて。これまでの記録は2004年10月の新潟県中越地震で観測された2515・4ガルだった。
加速度は、上下、水平方向への地盤の動きを基に計算されるが、同研究所によると、水平方向の動きよりも上下の動きが激しかった。
今回の地震は、断層が上下にずれる逆断層型で、観測点が震源の直上付近にあったことから、断層の上下方向の動きで激しい縦揺れに見舞われた結果、極めて大きな加速度が記録された可能性があるという。(2008年6月15日読売)
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就寝中に、かなりの揺れと振動を感じました。近辺かとおもってましたが、食事の際家族から聞いて、普段話題にしないのにと、大きいとはおもいましたが、TVでのヘリからの空撮による、山地の舗装道路の寸断崩落状況から、および近辺の山肌の露出面積の広さから、尋常で無い規模を想いました。
TVでは、ひとりのお婆さんが、白いタオルに片腕を隠し、その先が真っ赤な鮮血で、TVのインタビューで見せた傷口はぱっくり開いて痛々しかった。それでも気丈に答えてました。
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14日朝に発生した岩手・宮城内陸地震で、震度6強を観測した岩手県奥州市と宮城県栗原市で新たに4人の死亡が確認され、この地震の死者は6人になった。
宮城県警などによると、栗原市にある駒の湯温泉の宿泊客ら7人を含む計11人の安否が不明。読売新聞が警察や自治体に聞いたところ、負傷者は午後10時現在で172人に上る。余震は断続的に続き、同時刻までに震度1以上が計197回に達した。気象庁は「今後1週間程度は余震が続くとみられ、震度6弱程度を記録するおそれもある」と警戒を呼びかけた。
気象庁は同日午後、今回の地震について、震源の深さは約8キロ、マグニチュードは7・2に修正した。
新たに死亡が確認されたのは、岩手県滝沢村の千葉正彦さん(48)。奥州市の胆沢(いさわ)ダム工事現場で落石を受けた。宮城県栗原市の国道のり面工事現場で土砂崩れに巻き込まれた山形県鮭川村の作業員五十嵐正巳さん(54)、同門脇義富さん(53)の2人は同日夜、死亡が確認された。宮城県栗原市湯浜温泉で土砂崩れに巻き込まれた車の中から救出された1人(性別不明)も死亡した。
宮城県栗原市の土砂崩れ現場で行方不明者を捜す消防隊員ら(14日午後7時19分) また、宮城県警によると、釣り人や駒の湯温泉の宿泊客、旅館経営者の家族ら計10人が安否不明。作業員2人が死亡した工事現場には1人が土砂に埋まったままだが、仙台市消防局レスキュー隊などの捜索活動は余震で難航。午後7時すぎに2人を発見したが、土砂崩落の危険性があり、捜索は打ち切られた。
また、栗原市では、250人を超える住民が孤立。岩手県一関市でも須川地区などで土砂崩壊が確認され、自衛隊などのヘリで300人以上が救出された。
被災地には、東京消防庁が14日午後、ハイパーレスキュー隊員19人を含む職員計34人を現地に派遣した。同隊はがれきの中に閉じこめられた人を見つけ出すファイバースコープなどを使い行方不明者を捜索する。
この地震で、JR東日本は6か所で架線の切断が見つかった。東北新幹線仙台―八戸間と秋田新幹線上下全線で14日中の運行を見合わせたが、15日は通常ダイヤに戻る見通し。各新幹線の運休は計145本に上り、約11万7000人に影響した。東北新幹線の下り「はやて・こまち1号」は、午後6時7分に仙台駅に到着するまで、乗客約1000人が停車から約9時間半、缶詰め状態になった。
水道管の破損も各地で相次ぎ、宮城、岩手、秋田、山形の4県で計3800戸が断水。栗原市などには給水車が出動している。(読売)