民業圧迫 根強い懸念
日本郵政会社は31日、民営化後の事業計画を示す実施計画を発表し、民営化に向けて本格始動した。傘下に世界最大の金融機関となるゆうちょ銀行と、かんぽ生命保険を抱える日本郵政グループの資金量は約300兆円もあり、民営化後、国内金融市場に大きな影響力を持つことは必至だ。全国にネットワークを持つ日本郵政グループは地域金融機関や民間保険会社の経営にも大きなインパクトを与えそうだ。(永田毅)
■巨大運用機関
日本郵政公社の運用資金は2006年6月末時点で郵貯が197兆円、簡保は117兆円で合計314兆円に達する。日本郵政公社法で安定資産での運用が義務づけられているため、7割超が国債や地方債などで運用されている。
民営化後の実施計画でも、ゆうちょ銀とかんぽ生保の運用資金は合計296兆円。両社は“巨大な運用機関”としてスタートする。
市場関係者が、日本郵政の実施計画で懸念するのは、「収益源の多様化を図るため、株式の本体運用など他の銀行と同様の運用対象の自由化」を「民営化直後から」希望している点だ。
ゆうちょ銀とかんぽ生保は2011年の株式上場を目指しているが、持ち株会社の日本郵政が両社の株式を保有している間は、政府の意向を踏まえ、運用資産の大幅な組み替えは避けるとみられる。
ただ、それでも、長期国債と短期国債の投資額を変更することは可能だ。大手行が日銀のゼロ金利解除とともに長期金利が上昇するのを見越して短期国債へ運用をシフトしたように、ゆうちょ銀も運用方法を変えれば、長期国債の価格下落と長期金利の上昇に拍車がかかる懸念がある。
さらに、民営化から10年以内にゆうちょ銀とかんぽ生保の株式が完全処分された後で、両社が運用先を自由に決めるようになれば、市場への影響がさらに大きくなる。「ゆうちょ資金の一挙手一投足を注視しなければならなくなる」(大手行幹部)との懸念は強い。
■人材・ノウハウ不足
ゆうちょ銀と同じように資産運用で収益をあげているのが農林中央金庫だ。運用資金額は53兆円に達し、一般企業の売上高にあたる経常収益では資産運用収益が80%を占める。農林中金は80年代から人材やノウハウを蓄積し、有数の機関投資家に成長したが、ゆうちょ銀とかんぽ生保は農林中金の6倍近い資金量を持ちながら、人材やノウハウ不足は否めない。
日本郵政は4子会社の最高経営責任者(CEO)を選定する過程で、収益構造が似ていることから、農林中金の幹部をゆうちょ銀CEOに充てようとしたが、実現しなかった。銀行経営の経験がないまま、CEOに就任する三菱商事常任顧問の古川洽次(こうじ)氏をサポートできるノウハウを持った人材の確保が急務だ。
■新規業務で競合
また、巨大な金融グループの誕生で、地域の金融機関への影響は避けられそうもない。
実施計画では民営化後、できるだけ早い時期に、〈1〉郵便局での保険商品の窓口販売〈2〉預金の受け入れ限度額(現行1000万円)の廃止〈3〉住宅ローン、カードローン、中小企業向けビジネスローンの提供――などの新規業務の開始を求めているが、全国に窓口ネットワークを持つゆうちょ銀は地域金融機関と真っ向から競合する。
地方銀行には「このまま日本郵政の計画が承認されれば、到底、太刀打ちできず、経営危機に陥る金融機関も出るだろう」(地銀関係者)との懸念が強い。
かんぽ生保は第3分野と呼ばれる医療、傷害保険市場にも活路を見いだそうとしている。大手生保も、契約者の死亡時に保険金を支払う死亡保障型商品から、生前に給付する医療保険などに販売の主力を移している。生保業界からは「少なくとも政府出資の残っているうちは商品拡大はするべきではない」(大手生保幹部)と民業圧迫を懸念する声が根強い。
西川社長 事業拡大に強い意欲
日本郵政会社の西川善文社長は31日、竹中総務相とともに記者会見し、4子会社の民営化に向けた実施計画について「民間企業としての創造性、効率性を発揮し、自由な企業活動を行いたい」と述べ、事業拡大に改めて強い意欲を示した。肥大化批判も出ているが、竹中総務相は「肥大化ではない。すでに郵貯は世界最大の銀行だ。資金量が減っていくということが適正化のプロセスとして示されている」と反論した。
西川社長は、2007年10月の郵政民営化に先立ち、郵便貯金銀行(ゆうちょ銀)と郵便保険会社(かんぽ生保)の準備企画会社を8月にも設立する考えを明らかにした。4子会社の最高経営責任者(CEO)と最高執行責任者(COO)の役割分担については、「CEOは会長として全社的な経営戦略の決定に責任を持ち、COOは社長として戦略に従って業務執行の最高責任を負う」と説明した。
関連特集郵政民営化(2006年8月1日読売新聞)
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少年時、野球は巨人。「ミスター」の生地近辺走り、彼の秘密を解き明かそうと、それも脳裏の片隅にあったかも知れぬが、最近氏本人が某紙連載で経緯を述べていたので。
向老時、庶民の僅かな年金生活で、郵貯は金融の巨人。その位の監視で様子視ないと、何かと、おもう。
その過程で果たして、どんな変貌を遂げるであろうか。金融開国はすでに始まっている。
【123便】の航空会社は、今や低空飛行中ではないか。ファーストクラスの常連客は何処の国の会社か。その航空会社のマークは今も「鶴」だよな。
ワルい冗談と断っても、よもや{ハゲタカ}じゃないよな。
今月更にガソリンが値上げ。原油高騰、オイルマネーよどこに行く。