25日午前9時42分ごろ、能登半島沖を震源とする地震があり、石川県輪島市と七尾市、穴水町で震度6強、同県能登町、志賀町、中能登町で震度6弱を観測するなど、北陸地方を中心に、東海、近畿などの広い範囲で震度3以上を記録した。
この地震で、輪島市内の女性1人が死亡。26日午前0時現在の読売新聞のまとめでは、石川、富山、新潟の3県で191人が重軽傷を負い、石川県内で157棟が全半壊した。
気象庁によると、震源は輪島市の南西約30キロで深さは11キロ、マグニチュード(M)は6・9と推定される。金沢市などの沿岸では最大20センチの津波が観測された。
余震も続いており、26日午前0時までに、輪島市で震度5弱を1回、震度4を2回観測するなど、計149回の有感地震を記録。同庁は引き続き余震に警戒するよう呼びかけている。
読売新聞のまとめでは、落ちてきた屋根瓦やブロック塀に当たったり、階段から転落したりして骨折するなどした重傷者は石川県で21人、富山、新潟県で各1人の計23人。輪島市内などで木造家屋など55棟が全壊し、同市の宮腰喜代美さん(52)が自宅庭で倒れてきた灯籠(とうろう)に当たり死亡した。石川県では、輪島市を中心に約2500人の住民が公民館などに避難した。
政府は25日午前9時45分に官邸対策室を設置し、溝手防災相らを現地に派遣。防衛省は石川県知事の災害派遣要請を受け、陸自第14普通科連隊(金沢市)など約280人を派遣した。総務省消防庁も緊急消防援助隊の派遣要請を受け、7都府県に出動を指示した。
国土交通省によると、能登空港(輪島市)は、滑走路に14か所のひび割れや段差が確認されたため閉鎖され、全日空は25日の羽田―能登便2往復を欠航した。補修工事が行われており、26日に滑走路に異常がないことが確認されれば平常通り運航する予定。
JR西日本では石川県内の七尾線が、線路下の土砂が約35メートルにわたって流出するなどしたため、全線が不通となった。
同県内の高速道路は、土砂崩れや陥没などの被害が計20か所以上で見つかり、能登有料道路の柳田―穴水インター間、能越道の穴水―能登空港インター間などで通行止めが続いた。輪島市では市道が寸断され、4地区の計約130人が一時孤立した。
石川県によると、輪島市など2市3町で計1万3250世帯が断水し、自衛隊や自治体の給水車が出動。同県は厚生労働省と協議のうえ、被害を受けた輪島、七尾など3市4町に災害救助法を適用することを決めた。これにより、国と県が避難所や仮設住宅の設置などの費用を、全額補助する。(読売)
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25日朝に発生した能登沖地震で、震源近くに長さ約20キロの活断層とみられる地形が、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)の活断層研究センターが1988年に実施した調査で見つかっていた。
同センター海溝型地震履歴研究チームの岡村行信さんによると、船上から音波をあてて能登沖の地層のずれなどを調べたところ、今回の地震の震源付近を北東―南西方向に走る活断層のような地形を確認した。最新の活動履歴は、180万〜160万年前以降とみられるという。
しかし、場所が海域であるため、これ以上の追跡調査が困難で、活断層での地震発生確率を求めた政府の「地震動予測地図」にも記載されていない。岡村さんは「今回の地震の余震域ともほぼ一致しており、この活断層が動いた可能性がある」と話している。(読売)
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輪島市内には、公民館など27か所に避難所が設けられ、約2100人の住民が避難。不気味に揺れる余震に、「キャー」という悲鳴が上がり、母親は「こっちに来なさい」と子どもを抱え込んだ。
同市門前町地区の黒島公民館には、地元住民470人のうち180人が避難。ふすまを取り除いた3部屋で、ひしめくように座ったり、毛布にくるまったりして、不安な夜を過ごした。
地区の役員らがおにぎりとペットボトルの水を配給。断水で水洗トイレは使えない状態で、簡易トイレ1基を用意。高齢者が多いため、福井県立病院救命救急センターのスタッフらが駆けつけ、臨時の診療所を開設した。夕方の余震で避難を決めたという主婦(64)は「余震がおさまってくれないと。不安で怖い」と語った。
同地区の市立くしひ保育所には、一時、70人近くが避難し、近所の人の自宅の炊飯器に残っていたご飯でおにぎりを作った。断水で飲み水がなく、保存していた牛乳を配った。(読売)