日本経団連は17日、2013年以降の世界の温室効果ガス削減目標などを定める「ポスト京都議定書」について提言を発表した。
京都議定書が設定した二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出総量の削減率目標ではなく、各国・地域のエネルギーの利用効率を目標にすべきとしている。
具体的には、同じ国内総生産(GDP)を生み出すのに必要な単位当たりのCO2排出量などを用いるべきとした。御手洗冨士夫会長は同日、首相官邸を訪れ安倍首相に提言を手渡した。
1970年代の石油危機をきっかけに官民挙げて省エネルギーに取り組んだ日本のエネルギー利用効率は先進国で最高水準だ。04年時点で、同じGDPを生むのに排出するCO2量について日本を1として比較すると、欧州連合(EU)は1・7、米国2・1、中国10・8、ロシア19・2で、日本の効率は高いという。
経団連は、1990年を基準に温室効果ガスの排出総量の削減率を目標とした京都議定書の枠組みは、90年以前に取り組んでいた省エネ対策などが反映されず不公平だと批判している。
エネルギー利用効率を基準とすれば、政府が「新・国家エネルギー戦略」で掲げた2030年度の省エネ目標に到達するには、日本が03年度比30%の効率改善が必要なのに対し、EUは約60%、米国は約65%もの改善が必要となるという。(読売新聞)