かいふう

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警察当局が、総連トップに出頭を求めるのは初めて。

埼玉県上福岡市(現ふじみ野市)の渡辺秀子さん(当時32歳)の2児が拉致された事件で、警視庁公安部は25日午前、国外移送目的拐取容疑で、事件に関与した疑いの強い工作員らが一時期、活動に参加していた「在日本朝鮮留学生同盟中央本部」(留学同)など、在日本朝鮮人総連合会朝鮮総連)傘下の団体や関連先など4か所を捜索した。

公安部は、事件の舞台になった東京都内の貿易会社に、多数の工作員が入社した経緯などを知る立場にあった可能性があるとして、朝鮮総連徐萬述(ソ・マンスル)議長ら最高幹部3人からも参考人として事情を聞く方針で、同日、書面で出頭を求めた。

徐議長のほかに出頭を求めるのは、総連ナンバー2の許宗萬(ホ・ジョンマン)責任副議長とナンバー3の南昇祐(ナム・スンウ)副議長。拉致事件に絡み、警察当局が、総連トップに出頭を求めるのは初めて。公安部は、2児の「世話役」として工作船に同乗して北朝鮮に送り届けたとされる女(55)についても、荒川区内の自宅を捜索する一方、事件当時の状況を改めて聴取する。

調べによると、渡辺さんの長女・敬美ちゃん(当時6歳)と長男・剛ちゃん(同3歳)は1974年6月、品川区の貿易会社「ユニバース・トレイディング」の社員だった工作員らに福井県小浜市の海岸から拉致されたとみられている。

2児の拉致にかかわったのは少なくとも4人で、公安部は、このうち北朝鮮で暮らしているとみられる同社役員の女(59)が、配下の工作員の男(59)や世話役の女に拉致を命じたとして、国外移送目的拐取容疑で逮捕状を取る準備を進めている。

これまでの調べで、〈1〉同社役員の女や世話役の女は、留学同の活動を経て同社に就職した〈2〉朝鮮総連に同社を就職先として指定され、工作員になった学生が複数いた――ことが判明。さらに、同社役員の女が「本国からの指示で2児を北朝鮮に送る」と周囲に話していたことや、同社の複数の工作員自衛隊幹部らと密会していたことなども明らかになっている。

当時の朝鮮総連は、人事全般を統括する「組織局」の局長に現在の徐議長が就いていたほか、許責任副議長も本国からの指令を受ける「国際局」の部長などを務め、南副議長も、ユニバース・トレイディングと接点があったとみられる総連傘下の「朝日輸出入商社」(当時)に在籍していた。

公安部は、当時の朝鮮総連が、同社に工作員となる人材を送り込む役割を果たしていた可能性が高いとみている。(読売)