政府は5日、年金記録漏れ問題への新対策を発表した。
<1>該当者不明の約5000万件の記録の照合・通知を2008年3月までに完了する<2>11年度中をめどに、年金、医療情報を管理する「社会保障カード」を導入する<3>総務省の新組織「年金業務・社会保険庁監理委員会」を月内に設置し、新対策の着実な実施を監視する――などが柱だ。
該当者不明の記録について、コンピューター上で照合して持ち主を探し、該当者に通知する作業は、09年3月に完了させる予定だった。安倍首相は5日、首相官邸での記者会見で、新対策の概要を説明し、「年金記録問題は私の内閣ですべて解決しなければいけない。5000万件の記録の対策は専門家に精査させ、前倒しが可能になった。やるべきことはすべてやっていく」と強調した。
08年3月までに記録の持ち主と見られる人に通知した後、記録が見つからなかった人にも同年10月までに保険料の納付履歴を通知する。この結果、約1億人の年金加入者・受給者全員に通知が届くことになる。
これと並行して、社会保険庁のコンピューターに入力していない古い厚生年金記録約1430万件や船員保険記録約36万件を入力し、08年5月までに記録の持ち主と見られる人への通知を終える予定だ。
また、年金、医療、介護などの記録を一元管理する社会保障カードの導入も打ち出した。導入後は、こうした記録を自宅のパソコンなどでも確認できるようになる。カード導入と同時期に、年金のシステムを住民基本台帳ネットワークと接続し、住所変更などの届け出を不要にする。
総務省の監理委員会は、社保庁に委員を常駐させ、対策の進捗状況などを常時聴取して、評価・監視する方針だ。
これに関連し、塩崎官房長官は5日の記者会見で、年金時効撤廃特例法を6日に施行し、同日から時効分の年金の支払い手続きを社会保険事務所などで受け付けると発表した。社保庁のミスなどで誤った年金記録は訂正されたが、過去5年を超える時効分が受け取れなかった人が対象となる。(読売)