かいふう

近未来への展望や、如何に。

現職警察官が不法侵入、発覚恐れ殺害、と断定。

警視庁立川署の友野秀和巡査長(40)が飲食店従業員の佐藤陽子さん(32)を射殺後に自殺したとみられる事件で、警視庁は、佐藤さんが友野巡査長に送った携帯電話のメールの分析などから、友野巡査長が佐藤さんの留守中に部屋に不法侵入したことが発覚するのを恐れ、口封じのため殺害したと断定した。

警察官が執拗(しつよう)なストーカー行為を繰り返し、保身のため一般人を殺害するという極めて悪質な犯行が明らかになったことで同庁幹部の責任問題に発展する可能性も出てきた。

友野巡査長の携帯電話には昨年11月中旬以降、佐藤さんから届いた約430件のメールが残っていた。同庁が内容を分析した結果、今年7月下旬以降、友野巡査長が佐藤さんの私生活を周囲で聞き回ったり、東京・国分寺市の佐藤さんのアパートを見張ったりしていることを指摘し、やめるよう懇願する内容が増え、友野巡査長が佐藤さんのアパートに不法侵入したのではと疑うメールもあった。

さらに事件当日の20日午後7時ごろから、佐藤さんが射殺される直前の午後9時50分ごろにかけて届いた6通のメールには、当初、「お疲れ」などという穏やかな文言もあったが、次第に「会いたくない」という突き放した言葉が中心になっていた。さらに後半のメールには「ごめん。友ちゃん、訴える」として、ストーカー行為を訴えることを決意したとみられる内容が含まれ、最後のメールには「指紋をとればわかるよね」と、不法侵入にも触れていた。

佐藤さんは今月15日にJR立川駅近くの飲食店に出勤して以降、店には顔を出していないが、この直前、店を訪れた友野巡査長の同僚にも「空き巣に入られたら指紋を採取するのか」と尋ね、実家の母親には電話で「監視されている。自分の携帯電話を見られているかもしれない」と不安を訴えていた。友野巡査長は普段、佐藤さんの自宅アパートの近くまで来た際には、佐藤さんに「今、近くまで来ている」というメールを出し、やり取りしていたが、事件当日はこうしたやり取りの形跡もなかった。

このため同庁では、「訴える」「指紋をとればわかる」といったメールを見た友野巡査長が、自分の違法行為が発覚することを恐れて慌ててアパートに押し掛け、佐藤さんを殺害したと断定した。(読売)
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この事件の恐怖が倍なのは、本来市民を守る側の警察官が、職務を忘れたばかりか、殺傷する側に反転して襲いかかったことだ。
数百件のメールにしても、営業用かは、専門ならば察しが着くはずだ。
それに、10歳近くなら、その対象としても、相手の感覚でも冷静な判断まで考えられるはずだ。公務員の驕り、警察官の奢り、だけではない。
どんな職業にも職業病はある、とおもう。それが慢性化するか、そして顕在化するか。それからさらに他人に危害を加えるかどうかまで至ってしまうか。都会の働き人は、皆疲れている。それに、酒という媒介が介在する場所なら、リスクは増すこそすれ減りはしまい。
加害者も中間管理職なのだろう。同僚後輩には、率先して現場指揮を。上司からは厳格な指令を。しかし、働き盛りが、こんな結末しか市民に残せぬならば。それも現職警官が、と厳しくて当然だ。
ある事件を想い出した。まだその被害者の女子大生の名前は憶えている。故郷を離れてひとり下宿して、現職警官の職務質問とやらで入り口開けて、それで人生終えました、では。
自分が十代の時、祭り囃子が聴こえるかの時節、通った幼稚園への橋で風呂敷抱えて落ち込んでいたら、いきなり暗い川岸から、警察署名まで告げて声掛けてくれた警察官が居た。もう少年は山本有三の作品群の主人公なんだけれど。職務上とはいえ、そのひと言だよね。大人って、ありがたいな、と少年はおもったものだ。何かにつけて、そのことを思い出す。その人が、天職をつかんでいてくれたからこそ、の助言かも知れぬ。自己実現した満足を、職務に忠実を果たしたのかも知れぬ。
近頃、若い警官の自死やら紙面に見ると、かなしい。そんな若さで己れの可能性を閉じないでくれよ、と。隣接の職業だってある。無駄になってないよ、本日までの仕事も。余りに性急だよ。
この事件は、陰惨だ。遺族を増やしただけだ。世相を暗くしただけだ。
自分は、歴史マニアは容認しても、被害者記憶マニアは自称できません。