かいふう

近未来への展望や、如何に。

日本公認会計士協会が戒告処分。番外編

日本公認会計士協会は30日、ライブドアによる粉飾決算事件の内幕を描いた「ライブドア監査人の告白〜私はなぜ粉飾を止められなかったのか」(ダイヤモンド社)の著者である田中慎一公認会計士に対し、戒告処分を下したと発表した。
著書の出版が信用失墜行為にあたると判断した。
田中氏は、2004年9月期から粉飾決算事件を起こしたライブドアの監査にかかわった。自身は事件に加担しておらず、内幕を06年5月に著書にまとめた。
協会は出版後、守秘義務違反の疑いで審査していたが、ライブドア関係者が消極的ながらも出版を承諾していたと判断できるとして、明確な守秘義務違反には当たらないと結論付けた。
ただ、同書には、田中氏が資料などの「盗み見」行為を行ったことや、守秘義務違反の疑いを強くもたれるような内容が記されており、信用失墜行為に当たるとした。田中氏からの不服申し立てはなかったという。(読売)
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例えば農山漁村の人びとが、生活の為、半農半漁でも構わない訳で、そのタレントは、他人様にはわからない。
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金もうけのためなら手段を選ばない。企業経営者のそうした手法が三度(みたび)司法に否定された。
有価証券報告書に虚偽の記載をしたなどとして旧証券取引法違反に問われた元ライブドア社長、堀江貴文被告について、最高裁が被告の上告を棄却する決定をした。
懲役2年6月の実刑とした1、2審判決が確定する。かつて「時代の寵(ちょう)児(じ)」ともてはやされた堀江被告は近く収監される。
堀江被告は、大規模な株式分割を行うことでライブドアの株価を短期間で急騰させた。
投資事業組合(ファンド)を悪用し、本来は「資本」に計上すべき自社株の売却益を、不正に「売り上げ」に計上して、見せかけの成長を装っていた。
上場企業による正確な情報開示は、投資家を保護し、市場の公正さを維持するために重要だ。堀江被告が関与した犯行は、これらを根本から揺るがす、極めて悪質なものと言える。
実刑確定は当然だろう。
かつて堀江被告は「法が禁じていなければ何でもできる」と豪語していた。事件は、ファンドに関する会計ルールが未整備だった盲点をついた側面もあった。
だが、最高裁が追認した2審判決は違法性を認め、「被告の規範意識は薄弱」と批判した。拝金主義を指弾した司法判断である。
過去の粉飾決算事件の有罪判決では、執行猶予が付くケースがほとんどだった。このため、弁護側は「仮に有罪でも実刑は重すぎる」と主張したが、退けられた。
そもそも日本では、粉飾決算などに対する罰則が軽かったと言わざるを得ない。
ライブドア事件の後、旧証取法を抜本改正した金融商品取引法が施行され、有価証券報告書の虚偽記載などの懲役刑は、「5年以下」から「10年以下」へ、大幅に引き上げられた。
海外から、「日本市場は違法行為に厳しく対処できない不透明な市場だ」などと批判されるようなことがあってはなるまい。
投資家を欺く行為は重大な犯罪だということを、企業経営者は改めて認識する必要がある。
今後も証券市場で法の抜け穴を狙う取引は出てこよう。証券取引等監視委員会などによる監視の強化が欠かせない。
証券犯罪の捜査に精通する検察官が育っていないとも指摘されている。金融や会計の専門家を採用するなど、検察当局が捜査力を高めていくことも大切である。(2011年4月27日読売・社説)

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早稲田大学教授・上村達男 ライブドア事件を矮小化するな(2011.6.29 産経【正論】)
 ≪金融システムは不正に脆い≫
このたびのグローバル金融危機について、多くの経済学者・評論家たちは、これを百年に一度の危機と評し、まるで自然災害であるかのように受け止める向きが少なくなかった。筆者は本欄で、「金融危機は法の問題だ」と述べたが、その後の欧州とアメリカの対応は法の話の連続である。
他方、東北の大地震津波に直面して、日本人はこれを千年に一度の津波による「想定外」の事態では仕方ない、と思い込んだが、実は、原子力発電所は「想定可能な」地震で既にやられていた。あとは悪者探しであり、国もマスコミもひたすら東京電力の責任ばかりを強調する。ガチガチの認可基準や行動原理を押しつけてきた国の法的責任と、そうした国の基準にお墨付きを与えてきた専門家の責任をきちんと論じようという姿勢は乏しいようだ。
ライブドア事件で20日に収監された堀江貴文元社長も逮捕時には「想定外」と言っていた。恐らく、服役中も反省する気はないだろう。彼を応援する無責任な取り巻きの存在が、罪の重大さを見つめる目を曇らせているようだ。
金融システムは巨大なダムのような(あるいは原発のような)精緻だが脆(もろ)いシステムであり、虚偽の情報開示や相場操縦、インサイダー取引や証券業者による不正などの横行により、金融システム運営の理念である公正な価格形成(換言すると、有価証券などの真実価値の把握)が確保されなければ、バブルが容易に発生する。
バブルはある段階で、ちょうど蓄積された地中のエネルギーの解放が巨大地震を生むように、昨日まで経済社会を支えていた共通の価値の尺度の崩壊をもたらし、甚大な厄災を人類社会にもたらす。それは企業破綻・失業・社会不安・犯罪の発生源であり、その矛盾を外に向ければ植民地支配と戦争の原因ともなり、それが内に向かえば植民地支配の「内国化」、つまりは格差社会の拡大をもたらす。部分(ウォール街など)を輝かせる安直な手段とは、「周囲を暗くすること」だ。金融・資本市場が戦争にも関係する取り扱い危険物であることを理解しようとする日本人はあまりに少ない。
 ≪堀江元社長もてはやした罪も≫
1審、2審で実刑判決を受けた堀江元社長をテレビに登場させ、週刊誌の連載コーナーを持たせ、その著書の書評を掲載した大新聞の記者は、ライブドア事件などは自転車泥棒程度の話だとうそぶきながら、東電の責任を居丈高に追及していたが、これほど見苦しい姿はない。経済犯罪などは被害者なき犯罪であり、軽犯罪並みだという思い込みは、一杯飲み屋での素人談議のレベルである。
ライブドア事件は、下方修正条項付き転換社債を使った巨額の資金調達に始まって、その資金を使い、電子取引システムを利用した脱法行為によって公開買い付けを行わずに突然、大株主として出現し、さらに株式の一万分割を繰り返すことで証券市場を麻痺(まひ)させ、さらに投資事業組合を使った株式交換によって自己株式取得の脱法も行うといった、不正行為のオンパレードであり、その被害者は、一般投資家・市民、そして金融システムそれ自体である。
しかるに、こうした一連の不正行為を全体として重大犯罪として把握する努力を避けて、これを検察が有価証券報告書虚偽記載罪という形式犯で起訴したことで、事の本質が隠されてしまった。検察は往々にして、勝つことを優先させるために、税法違反や外為法違反、有価証券報告書虚偽記載といった形式犯に訴えることが多い。そのことが有価証券報告書虚偽記載で実刑なのか、といった誤った反応を呼び起こすことになる。
 ≪「抽象的危険」の認識が不可欠≫
村上ファンド事件も、行為の態様は、自ら堀江元社長に働きかけてから裏で不正な株式取引を行っていたもので、アメリカならスキャルピング(インディアンが人の頭の皮を剥ぐ行為)といわれるほどの不正行為であり、また堀江元社長との共謀によって、とっくの昔に有罪間違いなしの行為である。しかるに、これをインサイダー取引かどうかというような矮小化(わいしょうか)された問題としてしまったため、問題の本質が分からなくなってしまった。そもそも論点にもならないような問題で最高裁まで争ったことで、村上世彰(よしあき)元代表自身がさらに深手を負い、弁護士をもうけさせるだけの結果になったことは不本意であろう。
金融犯罪摘発は、金融システムという国民の生命・財産に直結する重大なシステムへの抽象的危険それ自体を罰するものだ。線路に大きな石を置けば、急ブレーキで列車が止まり実害がなくても重大犯罪とされるが、それは抽象的危険犯といわれる。公正な価格形成という抽象的価値の意義を認識するには学ぶ行為が必要だが、その重要性の認識に背を向けることは危険への察知能力の欠如を意味する。2つの金融犯罪と大震災を機に、日本人はたゆまぬ抽象的危険の除去によって、守られるものの大きさに目覚める必要がある。(うえむら たつお)

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ライブドア(現LDH)の粉飾決算事件を巡り、株価の暴落で損害を受けたとして、個人株主226人と法人株主1社が、LDHや堀江貴文・元ライブドア社長(39)(実刑確定)らに計約12億4700万円の損害賠償を求めた集団訴訟控訴審で、東京高裁は30日、ほぼ全額の賠償を命じた。
LDH側は上告する方針。
下田文男裁判長は「株の取得前に虚偽記載が明らかになっていれば、原告らは株を取得することはなかった」と述べ、1株当たりの損害を550円と算定した。1審・東京地裁は、株価の下落は、虚偽記載以外の要因も大きかったとして損害額を200円にとどめたが、2審は虚偽記載が株価下落の主原因だと認定した。
2009年5月の1審判決は、個人株主3316人と法人株主24社の原告のほとんどの請求を認め、LDH側に計約76億2800万円の賠償を命じた。1審判決後、原告の大半が和解した。LDHは8月の臨時株主総会で解散を決議し、清算手続きを進めている。(2011年11月30日読売)

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某紙で毎年、年末恒例の、「あなたが選ぶ10大ニュース」の特別面が載った。
その、2011年応募の手引、日本、の項目に、ライブドア・堀江元社長の実刑確定があった。