かいふう

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カネミ油症、認定患者の子供の「へその緒」には高濃度。

kaihuuinternet2007-12-22

国内最大の食品公害・カネミ油症で、認定患者の子供の「へその緒」に、主原因であるダイオキシン類のPCDF(ポリ塩化ジベンゾフラン)が通常より高濃度で含まれていることが長山淳哉・九州大准教授(環境分子疫学)と福岡県保健環境研究所の共同研究でわかった。

胎児期にPCDFに汚染されたことが科学的に証明されたのは初めてで、認定患者の子供だが未認定扱いされている被害者に対する認定基準の見直しにつながる可能性もあるという。

長山准教授らは4月、福岡、長崎両県の認定患者の子供の男女14人(15〜36歳、うち6人は認定患者)から乾燥したへその緒の提供を受け、数種類のPCDFの平均濃度を測定。一般男女12人(18〜34歳)のへその緒と比較した。

その結果、平均濃度は一般が1グラム当たり0・09ピコ・グラム(ピコは1兆分の1)だったのに対し、認定患者の子供は約64倍の5・8ピコ・グラムに達した。

さらに認定患者の子供を30歳以上と30歳未満に分けて比較したところ、30歳未満は0・7ピコ・グラムだったが、30歳以上は11ピコ・グラム。親の体に残留するPCDFが時間の経過により減少したとみられ、生まれたのが遅い子供ほど汚染が少なかった。

PCDFの中で最も毒性が高く残留しやすいタイプの平均濃度は、30歳以上が24・9ピコ・グラム、30歳未満が1・9ピコ・グラムだった。これに対し、一般からは全く検出されず、胎児期に被害を受けたことが明確になった。

長山准教授は「今後は血液に含まれるPCDFの濃度も測定し、体内にどの程度取り込まれたのかを解明したい」と話している。

油症の認定患者は約1900人で、認定されていない被害者は1万人以上とされる。子供の場合は、油症特有の皮膚症状などが見られないと認定されないことから、基準の見直しを求める声は強い。原田正純熊本学園大教授(環境医学)は「へその緒からのPCDF検出は、被害を受けたことの何よりの証拠。研究成果を認定基準の見直しにつなげるべきだ」と話している。(読売)