大統領の真実VS口実の大統領
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【ベルリン=中西賢司】ロイター通信などによると、ウクライナ北部のチェルノブイリ原子力発電所で9日、電力供給が遮断された。国営原子力企業エネルゴアトムは、使用済み核燃料の冷却ができなくなり、放射性物質が漏れる恐れもあるとして警戒を強めている。一方、国際原子力機関(IAEA)は、冷却に支障はないとの見解を示した。
原発は2月下旬、ウクライナに侵攻したロシア軍に占拠された。ロシア軍とウクライナ軍の戦闘が続いているため、復旧作業ができない状況だという。電力供給が止まった原因など詳細は不明だ。
ウクライナのドミトロ・クレバ外相は9日、原発には予備のディーゼル発電機があり、約48時間作動すると説明した。
チェルノブイリ原発では1986年、原子炉が爆発し史上最悪の放射能汚染が起きた。事故が起きた4号機は内部に核燃料を残したまま建屋が鋼鉄製カバーなどで覆われている。1〜3号機は事故後、運転を停止した。IAEAによると、事故から長い年月が経過し、燃料プールの冷却水量は電力供給がなくても燃料を冷やすには十分あり、非常用のディーゼル発電機もあるとしている。
IAEAは8日、チェルノブイリ原発の監視システムからのデータ送信が途絶えたと発表した。原発とウクライナ当局とのやり取りは、電子メールだけになっているという。
原発のスタッフ200人以上は2週間近く原発施設内に閉じ込められたまま、ロシア軍の監視のもとで働き続けている。
チェルノブイリ原発構内では、使用済み核燃料の冷却が続いている。宮野広・元法政大客員教授(原子炉システム学)は「使用済み核燃料は当然、冷却し続ける必要があるが、チェルノブイリは廃炉してから数十年たっており、発熱量も下がっている。停電し、冷却機能が下がったとしても、すぐに大事故につながるわけではない」と話している。
チェルノブイリ原発では、1〜3号機の使用済み核燃料約2万本が敷地内の貯蔵施設に保管されている。燃料は熱を発しているため、ウクライナの規制当局は空気を循環させるなどして冷やしている。
東京工業大の二ノ方寿名誉教授(原子炉工学)は「燃料は数十年たっているので、発熱量が相当少ないとみられる。核燃料の本数にもよるが、仮に電力供給がなくなっても大事故には至らないだろう」と話している。(読売)
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