かいふう

近未来への展望や、如何に。

人口減少と、高齢化を向かえて。

kaihuuinternet2007-02-27

イノベーション]「改革の先の明るい道筋を示せ」

日本が今後も経済成長を続けるにはどうしたらいいか。そのための長期戦略指針の中間報告を、政府がまとめた。

指針の表題は「イノベーション25」だ。「革新、刷新」を意味する「イノベーション」という言葉に、戦略が目標年に掲げる2025年を組み合わせた。

世界は激変している。日本の繁栄と国民生活の安定を維持していくには、長期的な戦略が欠かせない。

学者や経済人ら7人で作る内閣府の諮問会議がまとめた中間報告は、それに必要な社会、制度の変革を求めている。

今後20年の潮流として、中間報告はまず、日本の人口減少と高齢化を挙げている。今は65歳以上の高齢者1人を4人の労働力で支えているが、生産年齢人口の急減で25年には、これが2人になる。

その日本を、中国が国内総生産(GDP)で追い抜く。インターネットの拡大と経済のグローバル化で、企業は、厳しい国際競争にさらされる。

資源やエネルギーの窮迫、地球温暖化をはじめとする環境問題、水や食糧の不足も、ますます深刻になる。

こうした中で日本を支える唯一の手段は生産性の向上だ。それをイノベーションをテコに目指すという。そのためには人材育成や働き方、企業や制度のあり方に発想転換が要るとし、国民に「価値観の大転換」を求めている。

例えば、グローバル化に対応して、大学では英語で授業をする。文系、理系の区分はなくす。企業に対する事故時の免責制度を設け、新事業進出を促す。

米国で1990年に障害者の権利が法制化され、福祉の機器・サービス産業が育った。こうした事例を念頭に、新産業創出のための制度構築も目指す。

イノベーションの結果、20年後に実現しそうな技術として、認知症を激減させる治療薬、家事代行ロボット、人工降雨による砂漠緑化など、医薬や工学などの分野で20項目も挙げている。

ただ、中間報告が描く未来は誰にも明るいものだろうか。「出る杭(くい)」となる人材が育つという。世界に開かれ、スピード重視の社会になるという。しかし、ついていけないと不安を抱く人もいるだろう。格差が広がる恐れもないか。

こうした懸念から、中間報告は、国民の理解を得るには「政府が傷だらけになる覚悟と勇気」が必要と述べている。

政府は5月末までに、中間報告で挙げた施策を実現する道筋を最終報告にまとめる。国民の多くが、将来の生活に希望を持てるよう、しっかりとした道筋を示さねばならない。(読売・社説)