東京都は1日、地球温暖化対策として、都内の大規模事業所を対象に、二酸化炭素(CO2)の排出削減を義務付ける方針を発表した。
事業者間での排出量取引制度や、一定の削減量を見込める事業所への優遇税制も導入する。
排出削減の義務化は全国で初めてで、来年度中の条例制定を目指す。排出権取引制度は欧州連合(EU)で2005年に始まっており、日本でもこうした取り組みが大都市に広がれば、温暖化防止に大きな効果が期待できそうだ。
6日から始まる主要国首脳会議(サミット)を前に、日本政府は「CO2など温室効果ガスの排出量を世界全体で50年までに半減させる」という提案を発表している。都では、これらの施策の実施により、20年までに、CO2など温室効果ガスの都内の排出量を00年より25パーセント削減するとしている。
CO2の排出削減を義務付ける大規模事業所について、都は、原油換算で年間1500キロ・リットル以上のエネルギーを使っている企業などを想定しているが、削減目標や対象企業の詳細な基準は今後検討する。
都は02年にも義務化の方針を打ち出しながら、産業界からの強い反発などで断念した経緯がある。しかし、オフィスが集中する都心部のCO2排出量は大きく、今回は「温暖化の状況は危機的。努力義務だけではこれ以上削減できない」と、実現に向けて強い姿勢を示している。
一方、中小の事業所に対しては排出量の引き下げを義務化せず、削減分を排出枠として大規模事業所などに売却できる仕組みを創設し、排出の総量が減少するよう誘導するとしている。
これと合わせて、省エネにつながる電気設備などを導入する事業所に対して、法人事業税などの優遇措置を検討するよう、都税制調査会に諮問した。(読売)