中越沖地震の震源周辺域で過去20年間のマグニチュード(M)4以上の地震発生パターンが、1997年を境に大きく変化していることがわかった。
産業技術総合研究所活断層研究センター(茨城県つくば市)の遠田晋次主任研究員が解析した。M4以上の中規模地震の発生状況は、地震を起こす原因である地殻のひずみがたまっている様子を反映するとされており、2004年の新潟県中越地震に続き、わずか3年近くでこの地域に大地震が相次いだ原因を解明するカギとして注目を集めそうだ。
遠田さんは1987年から中越沖地震が発生するまでの過去20年間に、気象庁が観測したM4以上の中規模地震の震源分布を調べた。
その結果、97年9月までの10年間、新潟県北部から山形県西部にかけてや能登半島沖などで地震活動が活発だったが、中越沖地震の震源に近い、佐渡島南部から柏崎市北西の海域では地震の発生はほとんどなかった。しかし、97年10月以降の10年間では、佐渡島南部から柏崎市北西の海域で地震活動が活発化、反対に新潟県北部などでは沈静化し、地震活動のパターンが逆転した。
こうした地震活動の変化について、遠田さんは「原因は不明だが、中越地震と中越沖地震が短期間のうちに発生した原因を解くヒントが隠されている可能性がある」と話している。
地震予知連絡会の大竹政和会長の話「大変重要なデータだ。新潟県周辺だけでなく、『新潟―神戸構造帯』と呼ばれるひずみ集中帯全体の中規模地震の発生状況について調べていくことが必要だ」(読売)