かいふう

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「西日本石炭じん肺福岡訴訟」の和解。

福岡、佐賀、長崎県内の炭鉱で働き、じん肺になった元従業員と遺族計56人が、国と日鉄鉱業(東京)に総額約7億8000万円の損害賠償を求めた「西日本石炭じん肺福岡訴訟」の和解協議が9日、福岡地裁で開かれ、国と原告側の和解が成立した。

国は、総額約4億円の賠償を命じた福岡地裁判決への控訴を断念し、患者らへ謝罪して35人に計約1億5000万円を支払う。判決の確定前に和解するのは異例。残りの21人は、同社から仮払金を受けたことなどを理由に、国に請求しなかった。

損害の発生から20年が経過すると賠償請求権が消滅する「除斥期間」の起算点をいつにするかが最大の争点だったが、和解によって、国については、福岡地裁が1日の判決で示した「(国側が主張する)じん肺の認定時ではなく、じん肺になった後に発症する合併症の認定時から」とする判断が確定する。

炭鉱じん肺訴訟では熊本、水戸、札幌地裁で約900人が係争中。熊本、札幌地裁でも、除斥期間の起算点が争点となっているが、国は福岡地裁判決で示された起算点を基準として和解に応じる方針だ。

 同地裁では、国と日鉄鉱業など5社を相手取り、第1次363人、第2次47人が提訴。第1次では日鉄鉱業を除く4社と、除斥期間で争いがないケースについては国も和解に応じ、和解から漏れた56人が1日、判決を受けた。日鉄鉱業は2日に控訴している。

和解後、福岡市内で報告集会が開かれ、岩城邦治弁護団長は「1審判決の控訴期間中に和解するのは極めて珍しい。国を相手にした訴訟で早期に解決したことは画期的」、原告団長の清藤稲雄さん(72)は「私たちは石炭とともに忘れられた存在だったが、団結第一でやってきた。言葉にならないぐらいうれしい」と語った。

和解について、経済産業省石炭保安室は「患者、遺族の方々が長年じん肺で苦しまれたことを第一に考慮した」とコメントした。(読売)