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薬害C型肝炎訴訟、原告側が新救済案を提示。

薬害C型肝炎訴訟で、原告側が、被害者一人当たりへの補償金を国の想定額の3分の2に減額し、血液製剤投与を証明できる全被害者を一律救済する案を非公式に国側に伝えていることがわかった。

国側が、原告は原則的に全員救済するものの、未提訴者は一定期間の投与患者に対象を限定する意向を示しているのに対し、原告側が、一人当たりの金額で譲歩しても、被害者全員の救済を求めた形だ。大阪高裁での和解協議は、双方の主張が平行線をたどって難航しており、国側も、この減額案が現実的かどうか検討している。

これまでの和解協議で、国は、法的責任を認める対象を今年3月の東京地裁判決が認めた範囲としてきた。その上で、同地裁の判決が、製薬会社の責任も含め被告側の責任として認定した範囲を、国と製薬会社で補償する対象と判断。対象期間は、血液製剤フィブリノゲン」の投与患者は85年8月〜88年6月、クリスマシンなど第9因子製剤は84年1月以降に当たる。和解勧告が出た先月7日時点での原告171人のうち、東京地裁判決の認定範囲に当たる患者の補償額は計約22億円となる計算だ。

ただ、原告間で線引きした救済に対する原告側の反発を考慮、国側は、これに8億円を上乗せして30億円をまとめて支払い、原告側に配分を任せて全員救済の形にする意向を示している。これに対し原告側は一貫して、未提訴者も含めた全員救済を求めてきたため合意は難しいと見られていた。

減額案は、こうした事態の打開を狙ったもの。原告の中で、国が示した対象範囲に合致する患者は約7割。2002年に製薬会社が厚生労働省に提出した418人の症例リストの患者も、該当者は全体の7割と一致していることから、原告側は、未提訴者も同程度の割合であると推定。補償対象者が受け取り額を3分の1減らせば、総額を増やさずに全被害者に補償金が行き渡るとする案を裁判外で国側に伝えた。大阪高裁の和解協議では近く裁判所の和解骨子案が出る予定。(読売)