かいふう

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薬害C型肝炎訴訟、全国五つの訴訟の原告・弁護士ら約50人が東京集結。

薬害C型肝炎訴訟で、福田首相が一律救済法案を議員立法で制定する方針を表明してから一夜明けた24日、全国五つの訴訟の原告・弁護士ら約50人が急きょ、東京に集まった。

「被害者の願いを込めた法案を実現するためにも、早急に面談に応じてほしい」。国の責任と謝罪を法案に盛り込むことを明記した意見書をまとめた原告・弁護団は、福田首相に対し、直接会って被害の実情に耳を傾けるよう、改めて訴えた。

この日、原告らは午後1時から都内で約3時間にわたり協議した後、意見書の内容を記者会見で公表。「薬害被害の責任があることを認め、被害者の苦痛に心から謝罪する」との内容を法案に入れるよう求めることを明らかにした。

さらに、補償対象者であることを認定するための方法として、政府・与党内で検討されている「第三者機関による認定」について、「薬害被害者の切り捨てになり、望ましくない」との意向を表明。大阪高裁の和解協議で、提示が検討されている第2次和解骨子案に関しては、立法が固まるまで提示を見合わせるよう同高裁に求める方針という。

名古屋訴訟原告団の金田和子さん(54)は「この意見書には、多くの被害者の命の重さと尊さが込められている。内容について、福田総理に是非話を聞いてもらいたい」と話した。(読売)
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司法が認定した国の賠償責任の範囲にとらわれず、薬害肝炎の被害者全員を一律に救済しようという政治決断である。

薬害C型肝炎訴訟で、福田首相は、原告の要求に応じ、救済法案を議員立法として今国会に提出することを表明した。

原告側は「大きな一歩」と評価している。薬害肝炎問題は、決着の道筋がついたといえよう。法案の内容を詰め、超党派で速やかに成立させるべきだ。

原告は、出産時に止血剤として広く使用されていた血液製剤フィブリノゲン」などによってC型肝炎に感染した。全国5地裁に提訴した原告は、約200人に上る。4地裁が感染拡大を防ぐ措置を怠ったとして、国に賠償を命じた。

阪高裁が示した和解案の骨子は、国側に責任がある期間内にフィブリノゲンなどを投与された原告と、期間外の原告とで救済内容を区別するものだ。

一律救済を求める原告側は、受け入れを拒否し、舛添厚生労働相が示した修正案にも応じなかった。厚労省などが一貫して主張したのは、司法が限定的に認めた賠償責任の範囲を超えて、一律に救済することはできないということだ。

行政として、司法の枠組みを超えるのが難しいというのは、その通りであろう。この困難を乗り越えるために、政府としてではなく、議員立法での法案提出という決断になったのだろう。

一律救済を求める声は、野党だけでなく、与党内からも上がっていた。内閣支持率低下への懸念も、決断の一因になったのではないか。

法案は、フィブリノゲンなどの投与が証明できる患者を、すべて救済対象にするとみられる。未提訴者も含め、約1000人に上るとされる。

国は、どのような形で責任を認めるのか。支給額はどうするのか。今後の検討課題は多い。カルテの廃棄などで、投与の裏付けが難しい患者も少なくないだろう。医師の投与証明があれば、対象とするなど、混乱が生じないルール作りも急がねばならない。

進行性の病を抱える原告が、早く治療に専念できるようにする必要がある。

予防接種での注射器の使い回しなどでも、肝炎の感染は拡大した。やはり、国の不適切な対応が一因となった。

厚労省は、約350万人のウイルス性肝炎の患者・感染者対策を進めている。インターフェロン治療の助成費として、来年度予算に129億円を計上した。

肝炎対策は無論、一部の薬害肝炎被害者の救済で終わるものではない。医療対策の充実も進めねばならない。(読売・社説)