かいふう

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韓国人被爆者訴訟、上告審判決、最高裁。

戦時中に強制連行され、広島市被爆した後に帰国した韓国人の元徴用工40人(25人死亡)が、国と三菱重工業(東京都)などに計約4億4000万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が1日、最高裁第1小法廷であった。

涌井紀夫裁判長は「海外に居住した被爆者は健康管理手当を受給できないとした違法な通達により、原告は長期間、健康面や経済面で不安を抱え、精神的苦痛を受けた」と述べ、国に計4800万円の賠償を命じた2審・広島高裁判決を支持し、原告、被告双方の上告を棄却した。国の敗訴が確定した。

最高裁が、国の通達を違法と判断した上で、賠償責任まで認めたのは初めて。判決は、涌井裁判長、泉徳治、才口千晴の3裁判官の多数意見で、甲斐中辰夫裁判官は「通達は違法だが国家賠償は認められない」との反対意見を述べた。

原告は広島市三菱重工業の機械製作所などで働き、1945年8月に被爆終戦後、韓国に帰国したが、海外に住む被爆者(在外被爆者)については「出国すると被爆者の地位を失う」とする74年の旧厚生省通達により、健康管理手当の支給を受けられなかった。

判決は、「法律には在外被爆者が手当を受けられないという規定はなく、通達の違法性は明らか」と述べた上で、「重大な結果を伴う通達を出す場合は、法律との整合性を相当慎重に検討すべきなのに、国の担当者が注意義務を尽くさなかった」と指摘した。

1審・広島地裁は原告の請求を棄却したが、2審は国の賠償責任を認め、1人当たり120万円の賠償を命令。強制連行に対する賠償などは認めなかった。

この通達は2003年に改められ、現在は在外被爆者にも健康管理手当が支給されるようになっている。

厚生労働省の話「判決を重く受け止め、今後とも被爆者援護施策を適正に遂行したい」(読売)