かいふう

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東京地裁判決も、損害賠償は認めず。

kaihuuinternet2007-03-22

原爆症の認定申請を却下された被爆者が、国に不認定処分の取り消しなどを求めた集団訴訟で、東京都などに住む被爆者30人(うち11人が死亡)への判決が22日、東京地裁であった。

鶴岡稔彦裁判長は21人について、「疾病は原爆の放射線が原因だ」と述べ、不認定処分の取り消しを命じた。一方、残る9人は疾病と放射線との因果関係を認めず、請求を棄却した。

全国17地裁で229人(今年2月現在)の被爆者が起こした集団訴訟のうち5件目の判決。原告の一部が敗訴したのは、4人のうち2人の請求を認めなかった今年1月の名古屋地裁判決に続いて2件目。今回の判決も国の認定の仕方を批判し、大多数について国側敗訴を言い渡したことで、認定制度の見直しを求める声が一層強まりそうだ。

判決によると、原告の被爆者30人のうち、24人は広島、長崎の爆心地から1・0〜4・2キロで被爆し、6人は原爆投下後に爆心地周辺に入った「入市被爆者」。被爆後、がんや甲状腺機能低下症などを発症し、原爆症の認定を申請したが、却下された。

原爆症の認定は、爆心地からの距離で推定される放射線の被曝線量の計算式(DS86)や、被爆時の年齢、性別ごとなどに算出された「原因確率」を組み合わせた基準により、疾病と放射線との因果関係が判断されている。判決は、これらの認定基準について、「形式的な適用によって放射線と疾病との関係を否定するのは相当ではない」と批判し、「被爆状況や急性症状の有無なども総合的に考慮する必要がある」と述べた。その上で、原告一人ひとりの事情を詳細に検討し、21人については疾病と被爆の因果関係を認めたが、9人については請求を退けた。

一方、1人当たり300万円を求めていた損害賠償請求は認めなかった。(読売)