政府は16日、社会保険庁の職員が過去に無許可で、違法な労働組合の専従活動(ヤミ専従)を行っていたとして、関係職員を処分する方針を固めた。
労組側もヤミ専従の事実を認めている。処分対象は数十人規模になる見通しで、国家公務員法に基づく懲戒処分などとする方向だ。不正に受け取った公務員給与は6億円を超える見通しで、労組側は全額を返還する方針だ。
社保庁の調査で、ヤミ専従が明らかになったのは、「全国社会保険職員労働組合」(旧・自治労国費評議会。組合員約1万人)。1997年〜2004年ごろにかけ、20〜30人の組合員がヤミ専従を行っていたという。責任を取り、同労組トップの高端照和委員長が近く、辞任する見通しだ。
また、社保庁は、同組合とは別の労組「全厚生労働組合」(社保庁組合員数約2000人)の組合員もヤミ専従を行っていた疑いがあるとみて調べている。
ヤミ専従については、政府の有識者会議「年金業務・組織再生会議」(座長=本田勝彦日本たばこ産業相談役)が昨年12月、社保庁に実態調査を求めた。同会議は、10年に社保庁から衣替えする「日本年金機構」の組織や職員採用のあり方を検討中で、ヤミ専従が確認された職員は、機構への再就職を認めない考えだ。
社保庁は、月内にも調査結果を公表する予定だが、最終的な処分対象者や返還金はさらに増える可能性がある。また、管理職もヤミ専従を黙認していたとの指摘があり、管理・監督責任をめぐって社保庁幹部の責任が問われる可能性もある。(2008年3月17日読売)