かいふう

近未来への展望や、如何に。

ミスター「ローハイド」も苦笑い。

自分がローティーンの時だった。TVでモノクロで「ローハイド」という西部劇が放送されていた。茶と白のまだらの肉牛を何千頭も大平原を北上届ける、砂煙と汗にまみれたカウボーイの映画だ。主演に律儀と実直を体現した{フェイバーさん}と呼ばれる隊長役の俳優エリック・フレミングがいた。彼を補佐するのが若き、最近両手にオスカーを手にしたクリント・イーストウッドであった。この時同行する幌馬車の賄いシェフ名がウィッシュボンという頭髪と同量のアゴひげのおじさん。来日記念でカラーのTV雑誌の表紙を飾った隊長のやや高い丸椅子に決めたポーズは「生の皮(ローハイド)」を両膝に、なんと彼の両眼はグリーン。{青い目をしたお人形は♪}で、本物見てビックリ。そして、居るんだ。「赤毛のアン」も居るんだ。その主題歌を歌ったフランキー・レーンとともにおぼえた。
何年後、悲報が届いた。あの{フェイバーさん}が殉職したというのだ。本名からしてドイツ系だと、そしてその気質の良さを見せてくれた。こういうニュースは、載せるのに賛否両論ある。若い死を知らせる事はないではないか、と。しかし、彼はスターなんだ、信じてるんだ。自分のヒガミも含めて、それも記そう。
「グリーン・スリーブス」、{フェイバーさん}のグリーンの眼はそのメロディを脳裏に浮かべながら、グランドキャ二ヨンの平原を見渡した、そんな日があったことを。そして彼の母親が「エリック」と呼んで、彼にその眼に映える緑のセーターを着せた日があったことを。
自分は呼ぼう、あのシェフ見習いの南軍の帽子を被った若者のように。
『フェイバーさん、背骨取らないでジャパンへ出したそうですよ』。
彼はいつものように、両手ひろげて首かしげるだろう。