かいふう

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ストックオプション、国側敗訴。

ストックオプション(自社株購入権)で得た利益について、「一時所得」と申告した納税者が、「税率が約2倍になる給与所得と見なされた上、過少申告加算税まで課されたのは違法だ」として、国税当局を相手に課税処分の取り消しを求めた7件の訴訟の上告審判決が24日、最高裁第3小法廷であった。

同小法廷は、「利益は給与所得に当たるが、一時所得として申告したことには正当な理由がある」と述べ、加算税分まで適法とした各2審判決を破棄し、7件で計約2億6400万円の課税を取り消した。加算税課税に関する国税当局側敗訴が確定した。

訴えていたのは、「マイクロソフト」などの日本法人の元役員ら7人。

ストックオプションを巡っては100件以上の課税取り消し訴訟が起こされたが、最高裁は昨年1月、利益は給与所得だとする判断を示している。今回の訴訟では、国税当局の見解が定まらない時期に誤った申告をした納税者にペナルティーまで科すことが適当かどうかが争点となった。

判決はまず、国税当局の見解について、〈1〉1998年までは一時所得と見なしていた〈2〉98年以降も見解の変更を明示せず、2002年6月に初めて給与所得とする通達を出した――などの点を挙げ、「通達などによって納税者に周知させ、定着するように必要な措置を講じるべきだったのに、怠った」と指摘した。

その上で、「納税者が02年以前に一時所得として申告したことには仕方がない面があり、加算税課税は酷に過ぎる」と結論づけた。一方、加算税を除く大半の追徴分については、国税勝訴の2審判決を支持し、納税者側の上告を棄却した。

原告らは、企業から与えられたストックオプションを行使して得た利益について、97〜01年、一時所得として申告したが、98年以降に給与所得と見なされ、所得税を追徴課税されていた。

新谷逸男・東京国税国税広報広聴室長の話「国側の主張が認められなかったことは残念。判決を謙虚に受け止め、今後も適正課税の実現に向けて一層努力したい」(2006年10月24日読売新聞)