かいふう

近未来への展望や、如何に。

殺人事件の遺族の訴え。

栃木県今市市(現・日光市)で2005年12月、下校途中の小学1年吉田有希ちゃん(当時7歳)が連れ去られて殺害された事件で、有希ちゃんの父親の正信さん(42)と母親の洋子さん(39)は25日、心境や事件の早期解決を訴える手記を公表した。全文は次の通り。

           ◇

事件から間もなく1年が経(た)とうとしています。あの日の朝、有希を家から送り出した時、「行ってきます」と言って、私のほうを振り返りながら、笑顔で手をふっていた姿が今も目に焼きついています。まさか、それが有希の最後の姿になろうとは思いもよりませんでした。

事件にさえあわなければ、来年の春には3年生になるはずだった有希、かわいそうでなりません。ましてや、あんな寒い日に、山の中へ裸で捨てられるなんて、あまりにもむごすぎます。それを思うと一人でお墓に入れることが忍びなく、これまでお寺に預かっていただきましたが、私達も一応の区切りをつけるつもりで、本日、一周忌の法要に合わせて納骨をすませました。

この1年間、私達家族を支えていただいたご近所の方々をはじめ、職場の上司や同僚、学校、PTA、市役所、警察、そして励ましのお手紙などを頂戴(ちょうだい)した全国の皆様、さらに懸賞金の募集にご協力いただいた多くの方々に、あらためて御礼を申しあげます。また、犯人逮捕のために日夜ご苦労いただいている捜査員の皆様には、なんとしても犯人を捕まえていただきたく、お願いします。

今のままでは、あまりにもわからないことが多すぎます。一体、誰が何の目的で、わずか7歳という有希の短い生涯を閉じる必要があったのか私達は知りたいのです。もちろん天国の有希だって同じだろうと思います。

なによりも、時の経過とともに、有希の存在が忘れ去られてしまうのかと思うと無念でなりません。一人でも多くの方に有希を覚えていてほしいのです。

有希の事件後も、子供達を対象にした事件や事故が後を絶ちません。

中には、実の母親が我が子を殺害するという信じられない事件まで起きていますが、痛ましい限りです。いずれにしても、こんなに辛(つら)く、悲しい思いは私達だけでたくさんです。

こんな事件が二度と起こらないことを心から願いつつ、有希の冥福(めいふく)を祈りたいと思います。

    吉田正

      洋子

(2006年11月25日読売新聞)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
なんとも悲痛である。なぜ載せたかを自問するより、被害者の写真も見て、犯人が未だ逮捕されていない事に、不安を持つ。