かいふう

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日興コーディアルグループは引責辞任で幕。

日興コーディアルグループは25日午前の臨時取締役会で、不正会計処理問題に会社の組織的な関与があったことを認め、金子昌資会長(67)と有村純一社長(57)が26日付で引責辞任することを決めた。

後任の社長には桑島正治取締役(51)が昇格し、会長は当面空席とする。両首脳の退任で経営トップの管理責任を明確にして、事態の収拾を図る方針だ。

有村社長は同日の記者会見で、不正処理が起きた原因について「一個人のミスではなく、組織としての管理が不徹底だった。数人が一連の行為にかかわっていた」と述べ、会社としての対応に問題があったことを認めた。ただ、「会社として利益を膨らませる意図はなかった」と釈明した。金子会長は「資本市場の担い手の当社がこうした事態を引き起こしたのは遺憾で、申し訳ない」と陳謝した。

桑島氏は理科系の出身でシステム分野の経験が長い。グループの情報システム会社である日興システムソリューションズの会長も兼務している。証券業務の情報技術(IT)化が進んでいるため、システムに精通していることが、後任社長に選ばれた理由という。

後任には、グループ執行役で、傘下の日興コーディアル証券の小笠原範之副社長らも浮上したが、グループ取締役からの選任が適切と判断した。

有村社長は、兼務している日興コーディアル証券の社長も退任する。後任には同証券の北林幹生副社長(53)が昇格する。持ち株会社と証券会社の社長を分けて相互監視体制を強め、不正経理などの再発を防ぐ狙いがある。

不正会計の舞台となった子会社の日興プリンシパル・インベストメンツの城戸一幸社長と、平野博文会長も退任する予定だ。経営体制を刷新し、投資家や顧客の「日興離れ」に歯止めをかけたい考えだ。日興は、外部の専門家を中心とした特別調査委員会を設置し、社内調査とは別に、不正会計処理の原因を究明して、再発防止策を策定する。

日興は来年1月16日までに、東京証券取引所に訂正有価証券報告書を提出する。東証は報告を受け、日興の虚偽記載が上場廃止にあたるかどうか結論を出す。

日興が組織的な関与を認めたことで、決算を適正だとした旧中央青山監査法人みすず監査法人)の責任問題も焦点となる。(2006年12月25日読売新聞)
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証券大手の日興コーディアルグループは28日、不正会計処理問題で引責辞任した金子昌資前会長と有村純一前社長を含む6人から、企業業績に連動して支払われる報酬の一部を返上するという申し入れがあったと発表した。

返上を申し出たのは05年3月期に執行役を務めていた6人で、日興コーディアルグループの桑島正治社長も含まれる。

6人の返上額は総額6600万円で、金子氏が1200万円程度、有村氏が1800万円程度となる見通しだ。水増しされた利益に基づいた高い報酬が支払われたままでは株主の理解が得られないため、日興は金子氏と有村氏に返上を求めていた。

この日は東証で、桑島社長と傘下の日興コーディアル証券の北林幹生社長が就任後、初めての記者会見をした。

日興は、利益が不正に水増しされた2005年3月期有価証券報告書の訂正報告書を関東財務局に提出する予定日を、当初の来年1月15日から2月28日に延期したことも発表した。当時の監査を担当したみすず監査法人(旧中央青山監査法人)と再監査の契約を巡る協議が不調に終わったためで、日興は旧中央青山から分離して6月に設立されたあらた監査法人に監査を依頼した。

日興が不正会計処理の原因を究明するため27日に設置した特別調査委員会の委員長には元金融庁長官の日野正晴駿河台大法科大学院教授が就任する。日野氏は今月26日まで日興の監査委員会と顧問契約を結んでいた。特別委は1か月以内に報告書をまとめて公表する。(2006年12月29日読売新聞)