農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」(川崎市)発注の林道測量コンサルタント業務を巡る官製談合事件で、公正取引委員会は24日午前、2005〜06年度の受注上位4法人を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で検事総長に刑事告発した。
これを受け、東京地検特捜部は談合を主導した機構理事(59)や受注業者の取り調べを始めた。午後にも、理事ら2人と4法人の入札担当者4人の計6人を同容疑で逮捕し、機構本部を捜索する。
告発された4法人は、林業土木コンサルタンツ、森公弘済会の2財団法人と、フォレステック、片平エンジニアリングの2社(いずれも東京)。
公取委の調べなどによると、機構の理事と林道企画課長は05〜06年度分の林道測量コンサルタント業務204件の発注にあたり、機構OBの在籍数や過去の受注実績などを踏まえ、発注予定のすべての業務の落札予定業者を決定。告発された業者側の4人はこの決定に従い、落札予定業者が落札できるよう協力して、測量コンサルタント分野の競争を実質的に制限した疑い。4法人は7割近い業務を受注していた。
関係者によると、機構は前身の森林開発公団時代の1997年度に、林道測量コンサルタント業務について指名競争入札制度を導入した。しかし、導入当初から、機構本部の林道企画課と全国8か所の地方建設部の入札業務担当者とが協議して落札予定業者を決定する方法で、官製談合を繰り返してきたという。
理事は公取委の調べに、05〜06年度の発注業務について入札前に落札予定業者を決めるよう林道企画課長に指示していたことを認めた上で、「落札予定業者を決める方法は、自分の前の担当者から引き継いだ」などと供述。業者側の4人も容疑を認めているという。
特捜部では、機構や林野庁のOBの天下り先を確保するための悪質な官製談合とみている。また、機構側が03年の官製談合防止法施行を受け、談合が発覚しないよう、入札額を下げるよう業者に指示していた点も重視している。
理事は1970年、緑資源機構の前身「森林開発公団」に入り、2003年に森林業務部長、05年に理事となった。公取委の立ち入り検査後の今年1月、機構が設置した入札制度等改革委員会にも、委員として名を連ねていた。(読売)