かいふう

近未来への展望や、如何に。

チッソ会長が新救済策を拒否。

kaihuuinternet2007-11-19

水俣病の未認定患者救済問題で、原因企業「チッソ」(東京都千代田区)の後藤舜吉会長は19日、東京都内で記者会見し、与党プロジェクトチーム(PT)がまとめた新救済策について、「(チッソの負担分は)株主や従業員、金融機関などへの説明がつかない」などとして受け入れられないとの意向を正式表明した。

PTは「(チッソに対し)説得を続ける」としているが、事態打開のため、救済策は何らかの見直しを迫られる可能性が高くなった。

新救済策は、水俣病特有の感覚障害が認められ、認定申請と訴訟を取り下げた人を対象に、1人当たり一時金150万円と月1万円の療養手当を支給、医療費も補償するという内容で、一時金はチッソが、それ以外は国などが負担する。

これについて後藤会長は「(救済策を受け入れても)訴訟は継続しており、全面解決につながるとの展望が持てない」と指摘。1995年の政治決着で未認定患者約1万人に各260万円の一時金を支払った経緯に触れ、「95年と同じ解決をしても、今後また同じ問題が再燃しないという保証がない」とも述べた。

今回の救済策でチッソの負担額は約150億円に上るとの試算もある。自社負担について、後藤会長は「当社の収益力では対応は困難」とし、その背景として、被害者への賠償金支払いのために国や県から受けた実質的な融資の債務が約1300億円以上残っていることなどを挙げた。

一方、後藤会長はチッソの事業部門と補償部門を切り離す分社化構想にふれ、「実現すれば、支払い能力上の問題はクリアされる」と述べた。分社化は、補償担当会社が親会社となり、事業部門の会社を独立・上場させ、その上場益を補償などにあてる構想。多額の公的債務を抱えたチッソ存続の方策としてPT内でも検討されている。

未認定患者の主要4団体のうち、2団体は基本的に新救済策を受諾する方向だが、チッソと国、県を相手に損害賠償訴訟を起こしている残る2団体は拒否している。受諾した団体からは「内諾を得ていなかったのか」などと、PTとチッソへの批判が噴き出している。(読売)