かいふう

近未来への展望や、如何に。

「まけないぞう」くん、中越地震被災地も歩く。

阪神大震災の被災高齢者の支援の中で、生まれたゾウ形の手ふきタオル「まけないぞう」が1月から、新潟県中越地震の被災地でも作られる。

被災者支援を続けてきた神戸のNGOから贈られた新潟の被災者が、「復興に向け、ぜひ自分たちも作りたい」と声を上げた。阪神大震災で自宅を失ったお年寄りたちが、立ち直ろうと仮設住宅などで続けてきた試みは、新潟の被災者の励みにもなりそうだ。

「まけないぞう」は、神戸、西宮両市のお年寄りたちが家庭で眠る新品タオルの寄贈を受けてゾウの顔の形に仕立て、「被災地NGO恊働センター」(神戸市)を通じ1個400円で販売。送料などを引いた100円が被災者に渡り、生活の支えになってきた。

被災者の奮起に、全国から注文が集まった。ピーク時には約80人が1か月で約“1万頭”を縫って発送。インドやインドネシア、トルコなどの被災地にも届けられ、これまでに約14万5000個が製作された。

今月12日には同NGO代表の村井雅清さん(56)が、避難指示が解かれ、地元に戻った旧山古志村(現長岡市)の被災者に約400個を届けた。

受け取った雑貨店経営、樺沢恵子さん(58)が「冬場、雪に閉ざされて何もすることがないと、落ち込みかねない」と話すのを聞いた村井さんが、製作を持ちかけると、「ぜひに」との答え。樺沢さんを中心に、初めて阪神大震災の被災地以外で作ることが決まった。1月5日、同NGOのメンバーが現地を訪れ、作り方を伝える。

仮設住宅当時から、作り続ける村上しま子さん(78)(神戸市東灘区)は「愛着を持った1頭を作って、つらさを乗り越えてほしい」とエールを送る。

村井さんは「阪神大震災の被災者が涙を流しながら作ったゾウが再び被災者の心を癒やすことになるとは。雪解けのころ、もう一度、現地を訪れ、被災者と交流したい」と話している。(2006年12月31日読売新聞)