かいふう

近未来への展望や、如何に。

中国残留孤児訴訟、東京地裁判決。

kaihuuinternet2007-01-30

永住帰国した中国残留孤児が「戦後、中国に置き去りにされ、帰国後も苦しい生活を強いられた」として、国に1人当たり3300万円の損害賠償を求めた「中国残留孤児集団訴訟」のうち、関東地方に住む孤児40人(1人死亡)が起こした第1次東京訴訟の判決が30日、東京地裁であった。

加藤謙一裁判長は「国が孤児の早期帰国を実現する義務を負うと認めることは出来ない」などと述べ、孤児側の請求を棄却する判決を言い渡した。

残留孤児の約9割に当たる約2200人が全国で起こした集団訴訟での判決は今回で3件目。東京地裁の原告は1次〜5次提訴で計1092人に上るが、すべての訴訟を同じ裁判長が審理しており、孤児側敗訴とした判決は、今後の訴訟に大きな影響を与えそうだ。

訴訟では、<1>国は孤児を早期に帰国させる義務を怠ったか<2>帰国後に国が施している自立支援策は十分だったか――が最大の争点になったが、判決は「原告らの損害は戦争から生じた損害とみるべきもので、帰国が遅れたことに国の違法行為があったとは認められず、法的な自立支援義務も負わない」と判断した。

孤児側は、「国策で国民を満州(現中国東北部)に送り出した以上、国は早期に孤児らを帰国させる義務を負っていたのに、戦後一貫して義務を果たさなかった」などと主張。一方、国側は、「日中国交正常化以前は帰国を実現する方法はなく、正常化後も帰国を実現させるには時間がかかった。自立支援策も出来る限りのことをやって来た」などと反論していた。

一連の集団訴訟で、05年7月の大阪地裁判決は、孤児側の請求を棄却したが、昨年12月の神戸地裁判決は、原告65人のうち61人に計4億6860万円を支払うよう国に命じる判決を言い渡し、司法判断が分かれていた。(2007年1月30日読売新聞)