かいふう

近未来への展望や、如何に。

集団訴訟の名古屋地裁判決。

kaihuuinternet2007-01-31

被爆者援護法に基づく原爆症の認定申請を却下された愛知県内の被爆者4人が、国に処分の取り消しと1人300万円の損害賠償を求めた集団訴訟集団訴訟が31日、名古屋地裁であった。

中村直文裁判長は、2人については「放射線が原因と認められる」として、処分取り消しを命じた。残る2人は放射線と疾病との因果関係を否定し、請求を棄却した。損害賠償についてはいずれも棄却した。

原爆症認定をめぐる集団訴訟では、03年4月以降、全国17地裁に229人が提訴。昨年5月と8月の大阪、広島地裁判決で、原告全員が認められており、認められないケースが出たのは初めて。弁護団は、認定を退けられた2人について控訴する方針。

原告は、原爆投下後に広島市内に入った「入市被爆者」の愛知県知多市、甲斐昭さん(80)と、爆心地から2キロ以遠で被爆した「遠距離被爆者」の同県一宮市、中村昭子さん(80)、同市、森敏夫さん(82)、名古屋市、小路妙子さん(73)の計4人。

悪性リンパ腫(しゅ)を訴えた甲斐さんと、慢性腎不全の小路さんは訴えが認められ、白内障の中村さんと膵膿疱(すいのうほう)の森さんは、請求が棄却された。

4人は1997〜2003年に原爆症認定を申請したが、国は「原爆の放射線が原因ではない」などとして却下したため、甲斐さんが03年4月、他の3人が04年6月に、名古屋地裁に提訴していた。

原爆症の認定には、爆心地からの距離で推定される放射線の被曝(ひばく)線量の計算式「DS86」を基準とし、01年以後は、被爆時の年齢などに応じて作成された表から算出した「原因確率」で、病気と放射線との因果関係を認定する新基準も採り入れている。

この日の判決で、中村裁判長は、DS86や原因確率について「形式的に適用して判断したのでは、誤った結果を招く危険性がある」と批判し、「被爆時の状況や被爆後の急性症状など、個別具体的な事情を考慮して判断する必要がある」と指摘した。そのうえで、甲斐さんと小路さんについては処分の取り消しを命じる一方、中村さんと森さんについては因果関係を否定した。

損害賠償については、「厚労相が注意義務を尽くさなかったとは認められない」と、全員の請求を棄却した。(2007年1月31日読売新聞)