かいふう

近未来への展望や、如何に。

日本ビクター、ケンウッドと経営統合で合意。

松下電器産業の子会社、日本ビクターが、中堅AV(音響・映像)メーカーのケンウッドと経営統合することで合意した。迷走した再建策を決着させたのは、市場の圧力だ。

ビクターは、8月にケンウッドと資本提携し、1年後に共同持ち株会社の下で統合する。ビクター株の5割強を持つ松下は、株式を売却する見通しだ。

ビクターはテレビの開発で業界をリードし、家庭用ビデオ「VHS」をヒットさせた。しかし、デジタル化の流れに乗り遅れた。最近はヒット商品がなく、業績は低迷していた。

過去の実績や技術力、ブランド力があっても、戦略を誤ると、経営の土台は揺らぐ。ビクターの低迷は、音質、画質の特徴を出しにくいデジタル技術の厳しさを象徴する。

松下は1954年、創業者の松下幸之助氏の主導でビクターを傘下に収めた。再建を果たせなかった以上、そうしたしがらみを断ち切り、ビクターを手放すことを決断せざるを得なかった。

曲折を続けたビクター再建に対し、市場の評価は厳しかった。

松下がビクター株の売却方針を明らかにしたのは昨年末だった。ケンウッドなどが売却先に浮上したが、ビクターが反発し、実現しなかった。年明けには入札を実施して、米投資ファンドに優先交渉権を与えたが、その交渉も決裂した。今回、ケンウッドとの再交渉で、ようやく合意にこぎつけた。

昨年末に600円程度だったビクターの株価は、最近は300円台に急落している。こうした市場の圧力に加え、ブランド力の毀損(きそん)、社内の士気低下など、これ以上の迷走はもう許されない状況が、経営統合を促した形だ。

ビクターとケンウッド合わせても、売上高は大手電機の10分の1に過ぎず、経営体力に差がある。両社は当面、成長分野のカーオーディオなどのカーエレクトロニクス事業に力を入れるという。

経営統合が成功するかどうかは、技術の相乗効果を発揮したヒット商品の開発にかかっている。

ビクターが投資ファンドに買収された場合には、技術流出も懸念された。ビクターの技術が切り売りされ、韓国や中国などの新興メーカーに渡ると、日本追い上げが加速する恐れもあった。

家電など電機業界は企業数が多く、業界再編が遅れた。業績好調組と不振組の明暗も分かれている。

名門ビクターが松下傘下から離脱する動きは、業界の再編・淘汰(とうた)を加速させる呼び水になるだろう。(読売・社説)
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自分も、ビクターのステレオの2世代と、家庭用ビデオ「VHS」の名画鑑賞でも育った。名機は、飛行機のみにあらず。感謝する。それは、技術力、すなわち技術者の方々の存在を、強く意識しました。
良き音質で再生されなければ、音楽も、歌手の皆さんも演奏家諸氏のタレントも表現が適わぬ。使用者に信頼される社歴が、人材が雇用確保されてこそ、企業も市場もある。
しかし、投資ファンドに買収されなかったことは、安堵ですよ。よかった。