かいふう

近未来への展望や、如何に。

第2回日朝国交正常化作業部会。

第2回日朝国交正常化作業部会で、北朝鮮は、従来のように「拉致問題は解決済み」と、言い張ることはなかった。

だからといって、何か進展があったわけではない。むしろ、今後の交渉の多難さを改めて印象づけるものだった。

北朝鮮は、拉致問題について、「日朝関係は非常に悪化しており、さらなる措置を取る状況にない」と言明した。「日朝関係の悪化」とは、北朝鮮のミサイル発射や核実験に対し、日本が独自の経済制裁を発動していることなどを念頭に置いたものだろう。

だが、北朝鮮核兵器開発やミサイルで、最も深刻な安全保障上の脅威にさらされているのは日本だ。日朝関係を悪化させたのは、何よりも北朝鮮である。

協議では、日朝間の懸案の解決や国交正常化に向け、「具体的な行動について協議し、実施していく」ことで合意した。作業部会も頻繁に開催するという。

「日朝間の懸案」の核心は無論、拉致問題だ。北朝鮮が取るべき具体的な行動とは、当然、安否不明の拉致被害者12人の帰国や拉致問題の真相究明、拉致実行犯の引き渡しなどである。

北朝鮮は、米朝協議の進展や安倍政権の参院選惨敗などで有利な状況にあると見て、揺さぶりに出ているのではないか。今後、「具体的行動」として、制裁解除などを求めてくるだろう。日本としては、厳しい姿勢で臨まねばならない。

北朝鮮が協議継続に応じたのは、米国が、北朝鮮拉致問題などでの「対日関係の進展」を促していたからだ。米国は、日本に対しても、日朝協議の進展への期待感を表明していた。

背景にあるのは、米国の北朝鮮に対するテロ支援国指定解除問題だ。

米国は、核計画の「完全な申告」や核施設の「無能力化」を実施させる上で、北朝鮮が見返りとして求めるテロ支援国指定解除を検討するとしている。

米朝とも、テロ支援国指定解除の環境を整えるには、日朝関係を動かすことが必要だ、と考えているのではないか。だが、拉致問題の根本解決なしに、指定解除を容認することはできない。

今後、6か国協議が進展すれば、日本に対し、エネルギー支援の参加要請や日本独自の制裁措置の解除などの圧力が強まる事態も想定される。

だが、拉致問題の解決や北朝鮮の核廃棄への明確かつ具体的な道筋が見えない以上、無原則な動きはできない。

核・ミサイル、拉致問題の包括解決という基本原則に従って対応することがますます重要になる局面である。(読売・社説)