かいふう

近未来への展望や、如何に。

財布を拾う。そして記さないと、畏怖が残りそうで。

kaihuuinternet2007-11-25

先日、深夜そぼ降る雨の中、ハンディタイプの財布を拾った。路上に立ってある。前の家の玄関の灯りで見ると、なにやら茶色の図柄、舶来物らしい。
『エポケ』の国のよく偽物も出回るブランド物だ。語学には親の金使ったが、とりあえず開けてみると、すぐ赤に金の十字の献血手帳が眼に入った。看護師の登録カードも。
どちらの交番に行くか。そしてひとつを決めて傘さして歩いて行った。メタボのリハビリの心算でもある。
交番に着くと、すでに中で若い女が机に椅子で、調書を書いている。拾得物を片手を伸ばして机の上に置いたか、対面の警官は、それをすぐ隣室の棚に載せた。
その間、若い女は『まだ書くんですか』と問うたから、届け出た品物を見て、今しがた無くした財布が目の前にあるのを、青い調書をそれでも書く手間を、訊いたのだろう。対面の警官は白い紙を手にしてた。若い女がこちらを見たので、『あなた青い紙、ぼくは白い紙』と言い放った。その女の、表情は明るかった。で、ぼくは、やはりこの女が持ち主なんだ、と感じた。女は書き終え、表に出た。ぼく用の調書の上に、財布の中身を詳細に点検する警官が、免許証も見せた。若い女の顔写真だ。今しがた見た女と同一人か、判別できない。現金も紙幣で出てきた。同年齢はわかるんだが、と横に視線を流すと、先ほど出た女が自転車と共にまだ交番前に居るではないか。
ぼく用の調書に名と放棄の項目に記しを入れると、別紙に電話番号も記した。
終わると出る時、玄関に立っていたもうひとりの警官が、丁寧な挨拶をくれたから、挙手の敬礼はあったかどうか知らぬが、先ほどの女も後姿でいたから、多分やはり、落とし主なんだろう。
なんで、こんな事載せたかというと、看護師とは、自分に洗礼をしたのが、元看護婦長の牧師だからである。
赤に金の十字の献血手帳、も開けたら、一度献血している。そこが、ポイントだ。
そこで、届ける決意をした。自分も献血歴は、たった二度だがある。
かって拾った側で数度。された側でも数度。誰でも、半世紀生きれば、あるだろう。
誇示するというより、看護師から、自分を経て、再び看護師へ。リレーションシップなんだわ。記する報告を怠けると、畏怖が残りそうで。それは残しては拙いものでしょう。
その感覚というは、かって洗礼を受けし者が、授かりし神の母なる恩愛を、この機会に、若い看護師の娘に返した、そのことだろう。密かな祝福を覚えた。アーメン