Jから、Jへ
20世紀半ば。二度の世界大戦を経て。ある大陸の、たどり着いた西海岸。そのほど近い郊外に、映画の都が最盛期と呼ばれる時代を迎えた。移民の国である、その都市には、それこそ世界中からタレントある人びとが集まり。プレゼントという自負もあって。キリスト教国という歴史も兼ねて。[聖書]を題材にした数々の不朽の作品を製作、国内外に配給、上映された。
「創世記」、「十戒」、「サムソンとデリラ」、「キング・オブ・キングス」等。
総天然色であり、シネマスコープであり。劇映画の特性と、再現力は、他の芸術の比ではない。
我われの年代も、それらを観る恩恵に浴した。
そして、それを題材に小説が描かれ。その監督を移民の子らが撮っても、頷けよう。
適役を受け、Jも、タレントを発揮した。
その彼も、劇的な死で夭折する。
銀幕のスターは、リバイバルで生きる。
さて、ここ数年。もうひとりのJを知る。
こちらは、戦時下をやっと生き抜いて。未だ若い女であった。やはり、交通事故死。
しかし、自家用車の彼と違って。過失相殺でなく、歩いていた訳だ。しかも日本人。
【国難】を意識の爺さんには、近い。
よって、変更する。これも、何とまあ、自由な事だ。使わせてください。1949年、7月18日、横浜にて、事故死。ジューン・須山芳江、29歳。