かいふう

近未来への展望や、如何に。

「市川雷蔵」という映画スター。

夭折した若き映画スターといえば、新大陸では、「エデンの東」、「理由なき反抗」、そして「ジャイアンツ」を遺作とした彼であろう。評論家の小森オバちゃまも墓参を果たした。
欧州には、「赤と黒」、「パルムの僧院」、そして「モンパルナスの灯」の彼であろう。監督留学までした、岩波ホールの支配人も心酔する。

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ならば、この国にひとりを挙げよ、と問われれば、彼しかいない。
山本薩夫監督のリアリズム「忍びの者」、池広一夫監督の颯爽粋な「沓掛時次郎」、そして市川崑監督の金閣寺の修行僧を演じた「炎上」。
三島由紀夫原作で、市川雷蔵ブルーリボン賞を獲得した。
働き過ぎの過労で、ガンを患い、不帰の人になった、というのが、労務管理から推察した、結論である。
俳優さんは、自由業だから、売れたらナンボの人気商売だから、客が入って、興行成績が良くて、会社が儲かれば、どんどん使うだろう。
当然、それに答えて、タレントを酷使してまで、スター街道をひたすら突き進む。努力は実を結び花開く。ファンのひとりとして、何ら異存無い。しかし、本人は無理してまで、身体を壊してまで、どこまで耐えられるか。健康は、自己申告で済まされ、忘れられる。
文化だよ、作品だよ、残るよ、と云われれば、銀幕に若い分身を出来るだけ、とおもうだろう。
数多くの主演作品を残した。その、どれもこれもが、追従を許さぬ役作りならば、名声は、口コミで途切れることなく、劇映画史にも記録されるだろう。

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再掲だが、自分が金閣寺を訪ねた折、手持ちのカメラに残った一枚分、庭園内の小ぶりの松を撮ろうと構えたら、ファインダー内に欧米の少女がいきなり映って、あわてた。それが気になり、押さずに歩いて、観光バスの駐車場、今度はいきなり眼前に黒いサングラスの屈強な外人。父親らしい。もうチャンスはなかった。隣に母親もいた。
おそらく、岩国基地からの、トップガンの家族旅行だったろう。
さすが金閣は凄い。何が起こるかわからない。ハプニングも国際的だ。

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やもりの石松は、そんな颯爽粋な「沓掛時次郎」兄貴を慕って、老いても、杖を使うまではと、股旅つづけるのであろう。