NHK教育TV「ETV特集・ある人間(アイヌ)からの問いかけけ 〜萱野 茂のメッセージ〜」午後10:00〜11:30を観た。アイヌには関心があったが、「霧の摩周湖」♪で、晴れた日にその湖を、バイト先の家族と車で来ても、その透明な「エメラルドの伝説」♪の湖面に引き込まれそうになっても、民族衣装の踊る娘さんと何もない以上、お土産に買ったマリモが模造品と後でその家族に指摘されるくらいでは。
でも、或る民がその歴史において、その独自の言葉や文化、それを口承や継承するために、また新時代の進歩に歩調を合わせるごとく、ひとりの人が現れ、仲間と共にそれを為す。
それが、明治新政府からの{旧土人法}という法律から、100年を経て、新しい法にとって替わられる、それをアーカイブを交えて、知らしめた。とてもわかりやすかった。
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なぜかといえば、民話の中でカラスにくれてやるサケを洗って
やった者と、砂まみれにしてやった者が、神様からお礼をしても
らった様子の明暗がはっきりしていたからです。アイヌがそれら
生物に餌を与える時に必ずいう言葉に、アイヌネヤクカ カムイ
ネヤクカ ウレシパネマヌプ アコヤイラム ペテッネクスというの
があります。この意味は、人間でも神様でも子育てには大変な
苦労が伴う、したがって神であるあなたが、あなたの子どもたち
とともに食べる分を上げましょう、というわけです。アイヌの狩人
たちは、山でシカを獲った場合も肉の全部を採り帰らずに、キツ
ネの分は雪の上へ、カラスの分は木の枝に掛けるというふうに、
肉の一部と内臓は残してくるように心掛けます。それはシカの動
きを教えてくれるのが カラスとカケスだからです。狩りに山へ
行き、沢の向かい側の林の上にカラスあるいはカケスが舞うと
いうか旋回していると、その下には必ず何かがいるからです。
したがって、獲物を探す狩人にとっては、それら鳥の動きが大
きな目安になったわけです。ですから、お礼のしるしに肉を置い
てくることを忘れませんでした。アイヌ民族は、すべての生物が
物を分け合って食べようという気持ちが常にあるのです。
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したがって、遠くに見える山、近くを流れる川、沢など、これら
の自然はアイヌにとっては神様であったのです。山も木も川も
みんな神様です。なぜそれを神様と考えたのか。それは自然
全体、山も川も沢も、これらはいつも新鮮な食料を供給してく
れる食料貯蔵庫であったのです。ということは、川があるから
魚がいる。木がはえているからシカがいる、そこへ行って食べ
物をちょうだいしてくるという謙虚な心をつねづね持っていまし
た。このように自然を神と崇め、豊富にある物といえども乱獲
を慎み、それによって神=自然とアイヌの間に相互信頼が確
立していたのです。