過去最悪とされる食品公害「カネミ油症事件」で、自民、公明両党のプロジェクトチームは28日、国が被害者に求めている仮払金返還について、資力のない人を対象に免除する内容の特例法案を、今国会に提出することで合意した。
返還を求められている被害者510人のうち、3分の2以上が免除される見通し。今後、野党とも協議し、今国会での成立を目指す。
被害者が国を相手取った訴訟の下級審で勝訴し、約27億円の仮払金が支払われたが、その後、油症の原因物質の製造企業と和解した際に、被害者側が国への訴えを取り下げたため、返還の義務が生じていた。一部被害者は既に返済したが、約17億円が未返還となっている。
現行の債権管理法では、資力がないことを理由に、返還が10年延期された後も、弁済の見込みがない場合に限って、債務を免除することができる。特例法案は、「10年延期」をしていなくても、資力がないと認められた時点で、すぐに免除できるという内容。
被害者510人のうち、これまでに「資力がない」として、返還が延期となっていた344人については、ほぼ全員が免除対象となる見通し。その他、分割払いをしている人については、本人から申請があれば、農林水産省が資力を調査し、免除の可否を決定する。(2006年11月28日読売新聞)