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小児科医死の対病院損害賠償請求、東京地裁判決。

東京都中野区の「立正佼成会付属佼成病院」の小児科医・中原利郎さん(当時44歳)が自殺したのは、過密勤務からうつ病になったためだとして、遺族が病院側に慰謝料など計約2億5000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、東京地裁であった。

湯川浩昭裁判長は「仕事は特に過密だったとはいえず、うつ病を発症させる危険性があったとも認められない」として、請求を棄却した。

中原さんの自殺を巡っては、遺族が労働基準監督署を相手取り、遺族補償給付の支給を求めた訴訟で、東京地裁が今月14日、「過密勤務などが原因でうつ病にかかり自殺した」と労災を認定し、判決は29日に確定した。二つの訴訟の司法判断が正反対となったことについて、原告代理人は「同じ証拠で、ここまで180度違う判決になる理由が分からない」としている。

原告側は、中原さんが1999年3月以降、同病院の小児科医師の相次ぐ退職に伴い、宿直回数や心理的負担が増えた結果、うつ病を発症し、同年8月に自殺したと主張していた。

これに対し、判決は「宿直回数は、他の病院の小児科医と比較して突出して多いとはいえず、過重な業務だったとは認められない」と指摘。仕事とうつ病の関係についても、「健康状態や相続問題など仕事以外にも心理的負担になる問題を抱えていた」と、因果関係を否定した。(読売)