ある青年の行方。
ある治療からの帰路。T字路への道中。向こうから、以前、通勤時に走ったりもした。
その横丁から、一台の車椅子。それも、電動車椅子に腰掛けた、青年。
T字路へと、双方の距離は狭まる。私が先に、T字路に着いて。そこから、首を90度左右に振ると。その青年には未だ死角、T字路に直進する軽4輪。
私が角の反射鏡の位置ではある。
その間数秒ではあるが。
軽の運ちゃんも気付いたらしい。
無事に通過して。電動車椅子の青年を先に。次の十字路で曲がった彼。それを、見送ると。その姿は、坂があるので。
やがて、消えた。
あれっ、あの坂下りれるのかな。
いや、往路であれ、帰路にせよ。電動車椅子の搭載蓄電池で、そんな登坂力あるの。
坂下りる時は、どんなブレーキなんだ。
その程度ですよ。利器と云えど。日常的に非ずば。
その坂の下にもバス停はあったし。往きであれば、帰りが進行方向。
なので、その路線バス。ワンマンが、乗車の車椅子を補助するを。知ってるので。
まあ、彼が出て来たその先。プロテスタント系の教会あるを。知ってるので。
『知る知る道る』。なんだよー。
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平日の、陽の長い夏の夕刻。
街角。家族の親子連れ。キャリアありそな女の横顔。
そして、端正に止めたポニーテイル、白マスクに涼し気なまつ毛の少女。
知らなかった。皆、美しい。
ボクの身体も快方へ向かってるらしい。